No.00000048

アフリカへ(創作)



(C)A.D.1998/xx/xx
ネオ・ノーチラス海底都市サイボーグ研究所
所員

アフリカ サハラ砂漠 ウラデス台地の遺跡再調査


 本日より、斗馬丈一郎助手がアフリカ サハラ砂漠 ウラデス台地の遺跡の再調査に出発した。この調査は、現在開発中のサイボーグ円盤99(ダブルナイン)が99%以上の性能を発揮できない事から、「この設計図には欠損部分がある。それが原因で100%の性能が出せないのだ。」と斗馬助手は考え、欠損部分の遺跡設計図を求めての事であった。

 前回の調査では、片貝博士、斗馬助手ら一行の素性を隠す為、「動物保護官」の肩書を以って行なわれた。今回の再調査でも同様に斗馬助手は新たに「動植物の研究員」の肩書で偽装し出国する事となった。それと、今回は片貝博士の長男、健一夫妻と次男、健吾もアフリカで絶滅種の猛獣の保護を目的とした動物保護官となるべく一緒に旅立った。彼らが移住する先は、前回の調査でベース・キャンプとしたダルエスサラム野生動物保護区で健一夫妻一行はここに定住する事になっている。斗馬助手は、ここを基点にウラデス台地の遺跡の調査を行う事となっている。

 実はこの再調査には不安要素もあった。最近の斗馬助手の言動から、「現在、行っている研究が兵器へ転用され、到っては戦争に使用されるのではないか?」と言う、研究に対する迷いであった。サイボーグ99(ダブルナイン)の開発を理由も無く一時中断したまま、な点からも、サイボーグ円盤99(ダブルナイン)の開発も中断するのではないか。との噂さえ、ささやかれているのだ。

この点に関して片貝博士は、

 「研究者は、いつの時代でも研究成果が何らかの形で戦争に使用される事を知っている。」
 「反対に戦争以外の使い道で喜ぶ人達も大勢居る。その事も忘れてはならないんだよ。」
 「研究者にとっては、後者が本来の目的であって前者は想定外なんだ。」
 「だから、そうならないように、我々は平和な世の中を守っていく必要があるんだよ。」
 「そう言えば、彼も父親になったんだ。子供の事を考えると、倫理について悩むのもわかる。」
 「彼はまだ若いのだよ。倫理について悩むのも研究者の仕事の内だ。彼なら克服してくれるよ。」

こう言って片貝博士は、息子達と斗馬助手を見送った。



















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