No.00001300

トム・リポート 4(創作)

SM 中間報告



(M)A.D.1975/5/xx
(C)A.D.2002/5/xx
海底都市ネオ・ノーチラス サイボーグ研究所 所属
ビクトリー計画 素材研究班 スーパーミクロンチーム
チーフ M-109X トム


 私が数名のチームとこちらの世界に赴任してから2ヶ月あまりが経とうとしている。不思議なもので、本来の私の世界では(M)A.D.1975年6月なのだがこちらでは(C)A.D.2002年6月である。実に27年もの差がある。この世界・次元とは一体何者なのであろう。全てが同じ世界観なのに存在しているものが全く異なる。過信するわけではないが我々ミクロアース人、いやミクロマンの文明・科学をもってしても解明できない。なぜ、世界が2つあるのか。なぜ接触できるのか。宇宙は人智を超えているということだけが理解できてしまう。この現象から推測するとまだ他の世界も存在しうるという事である。であれば、この"世界"というものは増加・消滅すると言う事なのだろうか。仮に消滅したとして我々はそれに気づくことができるのだろうか。また、増えたとして我々は自身のアイデンティティーを確保して存在し続けて行けるのだろうか。この世界に蘇生はしたものの未来に対しての不安は広がり続けるばかりである。


 SMの精製実験にことごとく失敗。その後の細胞の培養実験にも失敗。更には仲間の不祥事によるサイボーグ円盤99の喪失。この事件により「ミクロ円盤UFO製造班」と「SM研究班」への2班化での人員不足による作業の遅れ。やる事成す事ことごとく裏目に出ている。これで、宇宙人・アクロイヤー連合の総攻撃に間に合うのだろうか?とにかく今は、彼等との共同計画であるビクトリー(V)計画に専念せねばならない。失敗続きで私は要らぬ不安に取り付かれているのだろう。


 結果として、この金属と細胞は切り離すことのできないバイオメタルなのである。その事が分かっただけでも収穫とするべきなのである。今の我々には精製も培養もできない。どうやって作り出すか・・・。この際、今更時間は覚悟するとしてこの細胞を作り出したブレスト・カプセルのシステムからおさらいが必要であるということである。



























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