No.00002600

トム・リポート 13(創作)
<極秘>

ミクロマンのサイボーグ手術



(M)A.D.1976/1/xx
(C)A.D.2003/1/xx
海底都市ネオ・ノーチラス サイボーグ研究所 所属
研究員 M-109X トム



ある日、日が沈んで間もなくして、私に強烈な救援の遠隔コミュニケーションが入った。先日訪れたジョンであった。なぜ地球名が同じ仲間が居るのだろう。などと思っていると事は重大だった。あの時、一緒にいたジャックがアクロイヤーとの戦闘で再起不能の状態に陥った。との事。私のサイボーグ技術で再起が可能か問い合わせてきたのである。これには私は"否"と即答せざるを得なかった。ミクロマンの細胞組織が他の組織を全く受け付けない事をジョンにも説明していたからだ。しかし、ジョンは食い下がり、様々な方法を提案してきた。がその全てが私も研究してきたもので答えは全て"否"だった。


状況を聴取すると、

改良したロボットマン地球人類搭乗型に乗った少年を援護する為、巨大化したアクロイヤー1にスーパージェットで特攻をかけアクロイヤーの細胞組織の分解(分裂)エネルギーに巻き込まれた。様態は、ほぼ全身の皮膚・筋肉組織の崩壊。内臓類のほとんどが機能停止。頭部のみ軽傷で奇跡的に破壊されなかったブレストの生命維持機能により一部生命活動を続けている部分だけがかろうじて生存させられている状況で、あと数時間も持たないだろうと言うのがジョンの見解であった。驚いたことに、生きていると言う言い方が正しいのかも怪しい状態である。

と同時にロボットマンを短期間で改良し地球人の少年を搭乗させ戦闘にも参加させたという事実にも驚いた。しかし、今はジャックのほうである。そこで、私の事である。短い時間の制限が付けられると単純な発想が浮かぶものである。とても非人道的な事を思いついた。が、さすがにこれは受け入れられないだろうと問題提起した。ところが、それでも彼は納得するはずだとジョンの返答である。私のほうが戸惑ったが彼らはすぐにひどい姿のジャックをカプセルに装填した状態でこちらに現れた。ジョン、ジェシー、ジョージだ。その間に私も準備を完了させ万全の体制で手術に当たった。


手術の手順である。

@彼の到着前に試作のメカ・ミクロマンから不要なパーツを全て取り除いた。
  (頭部、胸部・腹部の動力系・制御系のパーツ。頭部以外の外骨格部分を残した。)
A到着した彼の体から頭部、胸部の一部を残し他は全て切除。残された胸部にブレストをセットアップ。
Bそれをメカ・ミクロマンの胸部に搭載、固定。
  (ブレストの生命維持機能により必要なエネルギーは直接胸部・頭部・SM身体に供給。)
C彼が目覚めたら、ブレストの能力強化機能B重・圧力の制御機能で体を操縦させる。


全てを彼のブレスト制御能力に頼る方法を採った。ブレスト制御ができなければただの人形になる。手術自体は短時間で終わった。間もなく目を覚ました彼に私は言った。

 「残念だが、君は今から生物では無くなった。」
 「スーパーミクロンの体を持つスーパーミクロマンとしてよみがえった。」
 「心は前と同じジャックだが体はメカだ。」

ショックは隠せない様子だったがジョンの言う通りだった。彼はそれでも生き続けることを望んだ。体の操縦は彼のブレスト制御能力の高さから動かすことが可能だった。その場で感謝さえされた。ブレストの制御には想像を絶するエネルギーを使うはずだ。少しでもそれを軽減する為、メカ・ミクロマン試作機用に確保していた補助フライト装備のダッシュウィングとヘルメットを手渡した。既に日が昇り始めていた。少年のミクロ化を復元する為に彼らはすぐに帰路に着いた。いや、少年を喜ばせる為であろう。ミクロアース人の意志とは一体なんであったのだろう。エゴを満たす為の"種の保存"だったのであろうかそれとも、豊かな心を持つミクロアース人を残す為の"種の保存"だったのだろうか。先月の事件から意識を遠い世界に持ってゆかれる。

 「私の死により一人の少年が立ち直れなくなる可能性があった。それを回避できただけでありがたい。」

私の罪悪感はこの言葉で払拭された。しかし、書類としては極秘扱いとするのが正しいであろうと思えた。ミクロアース人の意志は後者であってほしい。と心から思った。






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