No.00002960

トム・リポートU 4(創作)<極秘>

アースステーション防衛戦



(M)A.D.1977/7/xx
(C)A.D.2004/7/xx
秘密基地アースステーション建造チーム
M-109X トム

 先日、「秘密基地アースステーション」を放棄した。本来はひと月前に放棄しているはずだったが、私自身の希望で、この基地の放棄を1ヶ月伸ばした。結果的に私の任務としては全て完了したと言っていいだろう。その任務とは「ミニ・ロボットマン」「メカドン」「ミニロボQ」の予定生産数の完成。もう一つは「囮」の役目であった。


第1次アースステーション防衛戦

 この「アースステーション基地」が地球の防衛に相当な貢献をしたことは事実であったが、実は3年後の完成を予定していた「富士山地球本部」の建造をカモフラージュする為の囮基地だったのである。もうひとつに「富士山地球本部」建造の為の「建設作業専用ミニ・ロボットマン」の製造プラントとしての機能も持たされていたのである。私が、この事実を知らされたのは「第1次アースステーション防衛戦」と名付けられた戦闘の直後であった。

 ミニ・ロボットマン、メカドン、ミニロボQらは、一部を除きほぼ全てが「富士山地球本部」建造の任に当たっていたのである。どうりで各方面からのフィードバックが少なかった訳である。当初、本部の考えでは、「富士山地球本部」建造は汎用性に富んだミニ・ロボットマンのみで建造が可能と考えていたのだそうだが、建造の進歩状況が悪く急遽、技術系を自負するMG-502ドンとMG-503パンチョに指令をだし、それを検証した上で「建設作業専用ミニ・ロボットマン開発」の依頼を持って極秘で私の所へやって来たのであった。

 この作戦「富士山地球本部建造計画」は、M-101ジョージ、M-102ジャック、M-103ジェシー、M-104ジョンにより計画され、ミクロマン中央情報局(MCIA)のM-130デューク局長、M-140ホーク副長により仕組まれたものであった。「建設作業専用ミニ・ロボットマン」の予定生産数もほぼ完了するであろうと見込まれた段階で、総統アクロイヤーA-323デーモンへ「アースステーション基地」の情報をリーク、ミクロコマンドM-161シェリフへは「巨大ロボット建造計画”J”」の情報をつかませ、囮を感じさせないよう両者を全力で戦わせたのである。但し、我々が不利になった場合はこの基地を即時放棄する計画であったのだ。


第2次アースステーション防衛戦

 がしかし、この作戦には誤算があった。アクロイヤー軍団の動きが予想外に素早く、およそ1ヶ月も早い総攻撃となってしまったのである。更に、この攻撃により極秘施設だったロボット製造プラントにも被害が及び、「建設作業専用ミニ・ロボットマン」の予定生産数が整えられなくなったのである。ロボット製造プラントの修復と生産の為に、もう1ヶ月この基地を守備しなくてはならなくなったのである。今度は想定していた通り1ヶ月後にアクロイヤー軍団の第2次攻撃が始まった。「第2次アースステーション防衛戦」である。この戦闘では、こちらは万全を期しフルメンバーでの防衛となり、総統アクロイヤーA-323デーモンをも葬り去ったはずであった。

 しかし、この戦闘後でも、「建設作業専用ミニ・ロボットマン」の数を整えるまでに至らなかった。ジョンはアースステーション基地の放棄を進言したが、私は自分の任務を完遂する為、そして「富士山地球本部」完成を最優先させる為、「建設作業専用ミニ・ロボットマン」の予定生産数が完成するまでの間あと1ヶ月、自らが囮となることを希望した。これは、ジョンに騙されっぱなしだった事への不愉快さを任務の完遂で晴らそうという、意地のようなものであったのであろう。そんな私の気持ちを解ってか、ジョンは周りの反対を払い了承した。事実上、この基地の運営は私一人に任されることになったのである。


第3次アースステーション防衛戦

 およそ1ヶ月後、まさかとは思ったがアクロイヤー軍団の攻撃が始まった。「第3次アースステーション防衛戦」である。この時既に、「建設作業専用ミニ・ロボットマン」の生産は予定数を完了。この基地を必死に守る必要もなかったが、ロボット製造プラントでの作業ばかりで前の戦闘には参加していなかった事と、数ヶ月間の様々なストレスの影響と、基地システムの緊張感ある警告・アラートに触発され、数年ぶりの戦闘を味わった。なまった身体でも不安はなかった。とにかく暴れたかった。結果的にアクロイヤー軍団を一人で撃退した。自分でも不思議なくらい身体が動き強かった。自画自賛だがスッキリした。しかし、もう戦闘はいいと思った。自分が怖く感じられるのである。

 とにかくこれで、アースステーション基地は放棄となった。アースステーション基地の機能は完成率30%の「富士山地球本部」へ移された。このままアクロイヤー軍団に発見されずに完成すれば、作戦としては大成功である。「囮代表」としては是非ともそれを望むところである。2度にわたる戦闘で負傷した仲間たちも報われるであろう。


次の任務は・・・しばらくは行方をくらまそうと思う。まずいかな。





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