No.00003010
サイボーグ研究所へ(創作)
(M)A.D.1977/1/xx
(C)A.D.2004/1/xx
海底都市ネオ・ノーチラス サイボーグ研究所 所属
派遣員 M-100 トム




 赴任命令が下された。赴任先は『ネオ・ノーチラス サイボーグ研究所』 蘇生して数ヶ月になるが、僕の知る限り耳にした事のない研究所だった。MD-601ダゴン元司令という人との入れ替わりでの赴任である。と言う事だった。赴任先での主な仕事は、連絡、調整、外交と言う事らしい。一体何者との外交があると言うのだろうと思い、通達に来た人に聞いてみたけど返事は「着任後に説明される。」との事。不安な気持ちのまま当日を迎える事になった。

 数日後、ミクロ円盤で迎えに来た人に質問してみたけど、「全て着任後に説明される。」との事。この前と同じ。そのまま無言のまま出発した。都心の上空を通過中不思議な事が起こった。地上のビル群を見ていると、なんというか・・・目まいに襲われた。というか遠近感がおかしくなった。ミクロ円盤は巡航速度で高度の変化も感じられなかった。不思議に思ったが、その後は問題も無く飛行を続けた。

 太平洋上にでてしばらくすると海に突入。日本海溝と思われるが、かなりの深度まで潜ったようだ。すると、海底にライトアップされた人口の建造物が現われた。ドッグに進入。排水が終わり促されて降りると、人間とミクロマン3人が近づいてきた。間じかに来て立ち止まったが、人間にしてはとても小さい。近くに居るのか遠くに居るのか判別が付かない。実はその人間は僕の3、4倍位しかない人間であった。ミクロマンと思っていた3人もその人間と同じ大きさで僕らとは何かが違っていた。よく見ると、あたりで作業を始めた人々も皆、同じ大きさだった。

 「ネオ・ノーチラス サイボーグ研究所へようこそ。私は片貝。研究者で彼ら3人のサイボーグの父親だ。」

 「はっはい。私は・・・M-100トムただいま着任いたしました。よろしくご指導お願い致します。」

訳が分からず用意していた挨拶を吐き出した。

 「噂どおり名前はトムなんだね。そうか。」

 考え深げな顔をして、彼は歩きながら私に状況の説明を始めた。案内された部屋に着くまでには大体のことは理解できた。不思議な事もあるもんだ。そこに、

 「遅くなりました。」

 とノックも無しにドアが開いた。なんとも恐ろしげな姿をしたアクロイヤー?ミクロマン?サイボーグ?ともつかぬ4人が入ってきた。



















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音声記録も添付

 「君が新任の・・・」

人間達の言うところの悪魔の様相を呈した1人がパイロットに聞いてきた。

 「いえ。こちらが新任のM-100トムです。」

パイロットが僕を向き紹介すると

 「これは失礼。今度のトムはずいぶん若いんだな。ダゴンだよろしくたのむ。と言っても次に会えるのはいつになるか分からんがな。いずれにせよ、これからは君がネオ・ノーチラス サイボーグ研と我々ミクロマンとの接点になるのだからしっかり頼むぞ。」

 「はっはい。」

僕はこの人がダゴン元司令!と無理に理解し、あらためて挨拶をした。

 「M-100トム ただいま着任いたしました。よろしくご指導お願い致します。」

さっきの繰り返しになった。次に会えるのはいつになるか分からないと言っていたのに「ご指導・・・。」も無いよな。と恥ずかしくなった。
恥のかきついでに聞いてみた。

 「あの・・・。」
 「なんだ?」
 「後ろの人達が僕の・・・いえ、私の部下という事になるんでしょうか?」

一瞬の沈黙のあと、

 「クッ。ククッ。ハッハハハハハハハハハハーーーーー。」

その場に居た全員で大爆笑となった。かなりへこんだ。

 「いやー。すまん。」
 「こんな部下が欲しかったのかい?」
 「こんなって言うなよ!!」
 「いえ・・・その・・・」
 「残念だったな。オレ達はあっちでジーグ達と同じく戦闘部隊に編入が決まってんだ。」
 「いやー。新しい司令がお前さんなら残ってもよかったかな。」
 「ハッハハハハハハーーーーー。」 一同大爆笑。
 「からかうのはやめろ!」
 「はい。」
 「へいへい。」
 「こんな、強面な部下が3匹も居たらやりづらくてしょうがねーだろー。」
 「そりゃそーだ。」
 「おい!」
 「失礼!へへ。」
 「とにかく、我々は今をもってあちらに行く。君は片貝博士らサイボーグ達と我々ミクロマンを繋ぐただ1人になるんだ。重要な任務だ。色々教えてもらいなさい。彼らと居るととても勉強になる。わかったね。」
 「はい。」
 「では、我々は行くとする。でわな。」
 「じゃな。」
 「がんばれ!新任!」
 「みんないい奴らだからよ。」
 「ありがとうございます。ご苦労様でした。」

 僕は片貝博士らと話しながら出て行く彼らを見送った。その後、片貝博士、健一、健吾、アンドロイドAらに、彼らの事を聞いた。自ら進んであの姿になったと聞き、彼らの正義感の強さに驚いた。僕にはできないだろう。僕は、僕にできることを一生懸命やるだけだ。こちらではミクロマンとしては一人だけど新しい仲間ができた。前任のトムと区別する為、僕は「ミクロマン・トム」と呼ばれるようになった。前任者達がどうだったかは気にせず、自分を信じて行動しよう。心に決めた。




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