No.00003100

ミクロアース巨人伝説(創作)



(M)A.D.1977/2/xx
(C)A.D.2004/2/xx
アクロイヤー巨大化細胞調査委員会
生体・医療調査班 M-130 ディオ


「ミクロアース巨人伝説」の実証

 およそ40億年前、かつてのミクロアースで遠い将来に起こりうる大災害を想定し、劣悪な環境下でも生存可能な人類を創る計画がある機関により極秘のうちに進められていたようだ。それは、「宇宙空間も含む劣悪環境下での生存率の向上」に主眼が置かれ完成したのは、以下のシステムであった。

@ブレスト・システム ・・・主に、個体の生命維持、個体の能力強化を行う。
                (完成は 後に"ウェーブ・ブレスト"とよばれるタイプ のみ)

Aカプセル・システム・・・主に、種の維持存続、自立支援を行う。


  ※詳細は、リポートNo.00001400、No.00001500、No.00001800を参照

 彼らは、このシステムの最終実験を行う為、開発に関わったスタッフの中から数百人を募り、近隣の恒星系にある劣悪な環境の惑星に向け、亜光速輸送船を出発させた。船内には、ブレスト・システム(この時は、まだウェーブ・タイプ ブレストのみが完成)をセットアップされ、カプセル・システムに装填された被験者、数百人と運用スタッフが搭乗していた。しかし、この船は目的の惑星に到達する前に何らかの事故により爆発し、搭乗していたスタッフ、被験者は宇宙空間に散ってしまったのであった。その中に、およそ30億年前の地球にたどり着いた彼ら4人がいた。


 幸運にも彼らは、カプセル・システムに守られ冷凍睡眠モードのまま生きていたのだ。比較的近くに飛散した彼ら4つのカプセル・システム同士が連携し星団を組み、安定した恒星系の惑星が現れるのを待ち続けた。その間、実に、およそ10億年。当時の太陽系に現れた時、カプセル・システムのコンピューター(ミクロム1000)がまだ若い地球を発見した。その成長を「ミクロアースと類似」と判定し地球に落着させたのである。しかし、外界の環境が今少し改善されるまでカプセル解除を行う時期ではないと判断し時が訪れるのを待ち続けた。


 およそ5000年前、現在の中東あたりで人類の手によりカプセル・システムが発見された。その事がカプセル・システム解除の意志となり、冷凍睡眠モードが解除され、今までカプセル・システムが経験した環境と地球の環境に合った進化が促進され4人のミクロアース人、いや、既にミクロマンである。彼らが眠りから目覚めた。この時点でカプセル・システムの最終実験が成功したといえる。彼らは、カプセル・システム(ミクロム1000)とのやり取りで自分達の置かれている状況を把握し、地球人類との共存を決意する。


およそ5000年前に眠りから覚めた4名。時代にあわせ色々名前は変えたようだが、最後に名乗った名前である。


M-109X ユダ    イエスの参謀的存在。良識と秩序を重んじ確かな判断力を持つ。
M-109X ヤコブ   経済、流通、官吏としての才能があり。毒舌家でもある。イエスを慕う。
M-109X イエス   安定した人格で包容力もある。人を引き付ける力を持つが本人は我知らず。
M-109X ヨハネ   明朗快活で安定した人格。行動力、組織力に優れ、イエスを慕う。






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 彼らは人類に対し技術、文化、文明を伝え、時にはブレスト・システムの五感外能力を活用し地球人類を救ったりもした。しかし、彼らはその能力故に人類に「恐れられる」ようになってしまった。その為、彼らはその都度、世界中を移動しカプセル・システムで眠り、これを繰り返し3000年余りをすごした。最終的に彼らは、「人類の英知が我々ミクロアース人を受け入れられる」まで、長期の眠りに付く事を決意する。


 およそ2000年前、彼らは「月に人類が到達する知能」を求め、地球の衛星、月の裏側でカプセル・システムでの長期の眠りに付いた。


 1976年、ロードステーション基地からの「スペクトルMX光線」発射からおよそ1年後、カプセル解除となった彼らは我々ミクロマンと合流する事になる。しかし、両者は驚きを隠せなかった。なんと彼らは地球人類と同じサイズなのであった。「カプセル・システム」の「分子分解・結合装置」が作り出す品々が巨大な理由はここにあったのである。彼らは基地に向かい入れるため「ミクロブレスト光線」により縮小された。当時、この一部始終は一部の関係者にしか公表されず、多くのミクロマンたちには存在すら知らされることが無かった。これは、「ミクロブレスト光線」の常態化の危険性を無視できない仲間に配慮しての事であった。この為、間もなく彼らには月面裏での宇宙を警戒する「月面基地」の建造に着手してもらう事となった。その後、この基地は、地球上での存在に適さない仲間が赴任する場として、更には危険な実験を行う場として定着してゆく事になる。


 1977年2月、アクロイヤーの巨大化細胞の調査を数ヶ月間行っていた我々「生体・医療調査班」がこの事実を突き止め、聞き取り調査を行った結果「ミクロアース巨人伝説」が実証され、今のサイズに何らかの不安をいだいていた我々は、元の大きさがあった事を知り、元の大きさに戻れるのではないか。との期待感が増したのであった。更には、彼らのような太古の地球にもミクロマンが存在していたであろう事が確認された事により、元の大きさに戻るための新たな情報がもたらされる事に期待を込める事となった。


 これにより、今後、太古の昔から何らかの要因で眠り続けているミクロマンの探索が活発化してゆくことになるであろう。他のチームの朗報を期待する。


























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