No.00020010


ZERO-ZERO-PAPER VOL.4

発行:浪曼堂
編集:ミクロマン補完委員会


ミクロナイト(パンフレット)

ミクロナイト解説

 1978年のミクロマンは「フードマン」シリーズと「ポリスキーパー」シリーズのふたつのラインで展開していたが、その「ポリスキーパー」シリーズとして発売されていたのがこの「ミクロナイト」である。設定上は対アーデン用にポリスキーパーが作り上げた高性能ロボットとあるが、その形状、商品コンセプトにポリスキーパーとの密接な関係を見出すことはできない。そもそも「ポリスキーパー」シリーズは、パルサーショットというアイテムを付加してはいるものの、人形自体は極めてスタンダードなデザインになっている(つまり、平たくいうならば量産型っぽいということ)。世界観の裾野を広げる上で、この方法論は正解となるのだが、同時にキャラクター性が薄くなるというデメリットも生じてくる。また、ビルド計画(ミクロトピア建設)を前面に出されることで、前年までのアクロイヤーとの対決色が薄まってしまったこともあり、この年の前半において「戦い」というテーマは極めて希薄になってきている。そこで、よりキャラクター性、ヒーロー性を高めた人形の導入が急務となったことは想像に難しくない。おそらく以上のような経緯によって誕生した「ミクロナイト」のデザインコンセプトは「ポリスキーパー」のそれとは対極に位置しており、徹底したヒーロー性、キャラクター性を強く打ち出している。全身メッキによるボディという処理は、当時の(株)タカラが展開していた「スターウォーズ」に登場するC3POを意識したものであることは明らかではあるが、特筆すべきは、銃とシールドという今日ではあたりまえとなっているフォーマットを「機動戦士ガンダム」の放映以前に確立していたことにある。各部に施されたSF感を盛り込んだ装飾彫刻による意匠も「重戦機エルガイム」や「ファイブスター物語」のはるか以前に確立しているだから、まさしく先鋭的なアイテムであったといえよう。当初はMC-8〜10が発売されたが、その際評判が高かったからか後に急遽MC-11〜13が発売されている。

 余談ではあるが1983年頃、「ミクロチェンジ」シリーズのカセットマシーンの試作としてカセットテープがミクロマンの乗る馬に変形するというものがあったのだが、残念ながら商品化には至らなかった。その試作品にミクロナイトを乗せ、しばらく、開発担当者の机の上に飾られていたという話で、かなりハマっていたそうな。今日となってはその姿を知る由もないのだが、それに近い粋な組み合わせを楽しめることはできる。機械皇国から脱走した麒麟をモチーフにしたアイテムが、実はサイズ的にピッタリだったりするので、是非とも試していただきたい。

 さて、今回の再販では、破損部分の修復ではさほど大きな問題はなかったのだが、メッキの色の再現が最大の問題点となっている。特にMC-10のアイアンに関しては現在、これに相当するトップコートは存在しないという衝撃の事実が発覚し、現在この色のトップコートを解析・復元中である。したがって、急遽、MC-10の発売は見送りとし、新たに黒のトップコートのものをMC-7として追加している。MC-10はアイアンのトップコートが再現できしだいシングル発売する予定である。

 旧製品に関しては金型さえあれば簡単に再販できるのでは?と考える向きも多いと思うが、事がそう簡単に運ばないのが実情である。浪漫堂では(株)タカラより金型移送ををした後、「試打ち」をおこなう。この時点で問題がないということはまずありえない。金型というものは2年も無稼働状態にあれば、どんなに保管状態がよくてもサビ、経年破損などにより、何かしらのケアが必要になってくるわけである。また長い年月が経てば、紛失部分もあるので、その部分は新しく金型を掘り起こさなければならないのである。この部分がもっとも生産コストに跳ね返ってくる部分になる。そして次の段階が「色出し」と呼ばれる工程で、復刻の場合一番のネックとなるのがこの工程で、調合した結果が限りなくオリジナルに近くないといけないので、通常のそれより高い難易度になっている。そして部材が出揃った段階で「組み立て」に入るわけだがミクロマンの場合、肘関節をハトメによって処理しているのだが、それを行なう工具自体から新たにつくりおこさなければならない始末。また、ネジも当時のネジはすでに存在しないため、極力当時のものに近いものをさがしてきている。

 正直、再販における工数の多さは当初の思惑を大きく超えているのが実情である。しかし、浪漫堂では、それでも「ミクロマン21」を続けていきたいと考えているので、今後のラインナップにも期待したい。

ミクロナイト

 ポリスキーパーが、新たな敵・アーデンとの対決用に開発した高性能ロボットで、ミニロボットマンをプロトタイプとしている。全身をミクロ彗星の核から発掘された新素材ナイトニウムでコーティングしており、アーデンのブレストボンバーの直撃にも耐え得ることができる。また、ミクロマンと同サイズのボディのため、ミクロマンの装備をそのまま使用することができる。標準装備としてパルサーショットを持つが、そのエネルギーは体内の動力炉とバックパックのを併用して供給されるために通常の3倍の出力で発射することができる。また、シールド部分に装備された力場発生装置によりあらゆる物理的攻撃を無効にすることができる。

 対星間帝王の時は、ローリングサンダーの護衛用に「ブリザード発生装置」を装備したものも実戦配備されている。

○MC-1〜MC-3・・・・・・
試作型で、ミクロナイトの実戦導入後は、後継機の実験ベースとなっている。MC-1は後に「ミクロム1999」の活動用ボディとして「オペレーションムーンゲイト」へと提供されている。

○MC-4〜MC-6・・・・・・
主に格闘戦を想定して開発されており、コマンドエリアに配備され、ミクロマンコマンドとともに活動している。

○MC-7・・・・・・
索敵機能を強化した機体で、インテリジェンス・エリアのM165・ステルスのパートナーとして活動している。

○MC-8〜MC-13・・・・・・
レスキューエリアに配備された機体で、当初はMC-8〜MC-10が配備されたが、アーデンとの決戦にそなえMC-11〜MC-13が追加配備されている。



後記

いよいよ次回は「スパイマジシャン」の発売です。その際、新色を加えるかどうか、それともカタログ番(版の誤植)の下半身黒バージョンも捨てがたいし・・・・・・。現在、その仕様をめぐって熱いミーティングが繰り広げられています。もちろん、それ以降のラインナップも密かに進行中ですが、最近「NEWミクロマン」ものの再販を希望する声も寄せられています。もし、リクエスト等ございましたらどしどしおハガキを送ってください。みなさんの熱い声が我々スタッフのエネルギーです。




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