No.00029913
アポロニクス1号をすくえ!(創作)
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(A)xxxxxxxx/09/xx (E)A.D.1978/09/xx
(M)A.D.1978/09/xx
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――1976年1月 アルデバラン系第3惑星アーデン星首都 アーデン星党本部 屋内大公会堂。
ここは、最大収容人数およそ5万人の屋内施設。視覚的に言うと、聴衆はそれ以上と思われた。
壇上には全人民の主、指導者が聴衆を前に話しはじめた。
「同志諸君。」 「うおーーー!」
「同志様ーーー!」 「指導者様ーーー!」
「わーーー!」
熱狂的な歓声を30秒間引き受けたあと、右腕を水平に弾くとともに静まりかえらせた。
「私は先日まで、暗く、寒く、寂しい宇宙空間に身ひとつで居た。何故か?それは諸君らが希求して止まない第2の母星を探すためである。そして先日帰還した。何故か?そう。それは、70光年先の『太陽系』に『地球』という、300年以上前のここによく似た星を見つけたからである。」
「同志様ーーー!」
「すばらしいーーー!」 「同志様ーーー!」
「わーーー!」
先程同様、歓声を30秒間引き受けたあと、右腕で静まりかえらせた。
「私が不在の間、同志諸君には不安をいだかせてしまったことを詫びる。しかし、この間、諸君らは自らに課せられた使命を万全に遂行した。そしてここに、『超空間飛行』を可能にした宇宙軍の『アーデン艦隊』が完成した。それに、これを護衛する『戦闘機部隊』、『アーデンロボ部隊』も数をそろえる事ができた。感謝にたえない。そして今日、この『アーデン艦隊』が提督と人民の代表の指揮により『地球』の保護、管理の為に出発する事となった。皆で出発を祝おうでわないか。」
「たのんだぞーーー!」
「がんばれーーー!」 「提督ーーー!」
「わーーー!」
止まない歓声の中、指導者は姿勢を変えずに、となりに控える者に話しはじめる。
「提督。」 「は。同志。」
「貴公、地球侵略先遣隊の報告は聞いておるな。」
「は。報告書は熟知しております。」
「地球の人類は危険すぎる。あれを民に見せてはならぬ。絶対にな。」
「は。」
「貴公の任務は地球人類の完全抹殺である。文明の痕跡は残す事も止むを得ん。だが、人類は一人残らず始末するのだ。民があれを目にしてしまっては『巨人信仰』が息を吹き返す。・・・また戦乱の時代に舞い戻ってしまう。絶対にならん。」
「は。心得ております。非情に徹します。兵も洗脳・・・とまではまいりませんが、万全を期し、教育を行ってまいりました。到着までには更に教育を予定しております・・・。」
「教育とな。うむ。確実にな。」
「は。ところで同志。報告書にある地球人類とは別の小型人類ですが・・・。」
「うむ。手こずっておるようだが問題あるまい。数も少ないとのこと。ヘルダーらも、そ奴らの始末を優先して行うと言ってきておる。増員も送ったことだし、協力者も得ているようだ。」
「であれば、問題はありませんな。ただ・・・、何者なのでしょう?・・・我々の先祖となにか関係が・・・」
「提督。それを知ってどうなる?友人にする時間はあるのかね?民が幸せになれるのかね?」
「あっ!いえ。なれませんな。失言をお許しください。」
「うむ。この様子では我らが提督にも教育とやらが必要かな?」
「と、とんでもございません。私には必要ありません!はい。」
「そうか。では、人民代表の監視も頼んだぞ。」 「は!お任せを。」
「そろそろ出発かね?」
「は。では、行ってまいります。地球人類抹殺へ。」
「我らが提督殿。『第2母星』の管理の為だと思うがね?」
「失礼いたしました。その通りで。では。」
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