No.00029913


アポロニクス1号をすくえ!(創作)
(A)xxxxxxxx/09/xx
(E)A.D.1978/09/xx
(M)A.D.1978/09/xx

――1976年1月 アルデバラン系第3惑星アーデン星首都 アーデン星党本部 屋内大公会堂。

ここは、最大収容人数およそ5万人の屋内施設。視覚的に言うと、聴衆はそれ以上と思われた。
壇上には全人民の主、指導者が聴衆を前に話しはじめた。

 「同志諸君。」
 「うおーーー!」
 「同志様ーーー!」
 「指導者様ーーー!」
 「わーーー!」

熱狂的な歓声を30秒間引き受けたあと、右腕を水平に弾くとともに静まりかえらせた。

 「私は先日まで、暗く、寒く、寂しい宇宙空間に身ひとつで居た。何故か?それは諸君らが希求して止まない第2の母星を探すためである。そして先日帰還した。何故か?そう。それは、70光年先の『太陽系』に『地球』という、300年以上前のここによく似た星を見つけたからである。」
 「同志様ーーー!」
 「すばらしいーーー!」
 「同志様ーーー!」
 「わーーー!」

先程同様、歓声を30秒間引き受けたあと、右腕で静まりかえらせた。

 「私が不在の間、同志諸君には不安をいだかせてしまったことを詫びる。しかし、この間、諸君らは自らに課せられた使命を万全に遂行した。そしてここに、『超空間飛行』を可能にした宇宙軍の『アーデン艦隊』が完成した。それに、これを護衛する『戦闘機部隊』、『アーデンロボ部隊』も数をそろえる事ができた。感謝にたえない。そして今日、この『アーデン艦隊』が提督と人民の代表の指揮により『地球』の保護、管理の為に出発する事となった。皆で出発を祝おうでわないか。」
 「たのんだぞーーー!」
 「がんばれーーー!」
 「提督ーーー!」
 「わーーー!」

止まない歓声の中、指導者は姿勢を変えずに、となりに控える者に話しはじめる。

 「提督。」
 「は。同志。」
 「貴公、地球侵略先遣隊の報告は聞いておるな。」
 「は。報告書は熟知しております。」
 「地球の人類は危険すぎる。あれを民に見せてはならぬ。絶対にな。」
 「は。」
 「貴公の任務は地球人類の完全抹殺である。文明の痕跡は残す事も止むを得ん。だが、人類は一人残らず始末するのだ。民があれを目にしてしまっては『巨人信仰』が息を吹き返す。・・・また戦乱の時代に舞い戻ってしまう。絶対にならん。」
 「は。心得ております。非情に徹します。兵も洗脳・・・とまではまいりませんが、万全を期し、教育を行ってまいりました。到着までには更に教育を予定しております・・・。」
 「教育とな。うむ。確実にな。」
 「は。ところで同志。報告書にある地球人類とは別の小型人類ですが・・・。」
 「うむ。手こずっておるようだが問題あるまい。数も少ないとのこと。ヘルダーらも、そ奴らの始末を優先して行うと言ってきておる。増員も送ったことだし、協力者も得ているようだ。」
 「であれば、問題はありませんな。ただ・・・、何者なのでしょう?・・・我々の先祖となにか関係が・・・」
 「提督。それを知ってどうなる?友人にする時間はあるのかね?民が幸せになれるのかね?」
 「あっ!いえ。なれませんな。失言をお許しください。」
 「うむ。この様子では我らが提督にも教育とやらが必要かな?」
 「と、とんでもございません。私には必要ありません!はい。」
 「そうか。では、人民代表の監視も頼んだぞ。」
 「は!お任せを。」
 「そろそろ出発かね?」
 「は。では、行ってまいります。地球人類抹殺へ。」
 「我らが提督殿。『第2母星』の管理の為だと思うがね?」
 「失礼いたしました。その通りで。では。」








1







アーデン提督がさがるとすぐ、彼はそのままの姿勢で話しだした。

 「貴公が設計したこの艦隊、『第2母星』への到着はいつだったか?」
 「はい。32ヶ月後でございます。」
 「そうか。先遣隊の『ロボ』は7ヶ月だったがな。そう、うまくはいかないものか?」
 「はい。『ロボ』とは質量が異なります。更に数もある為、『超空間飛行』解除時の空間の確保にも複雑な計算が必要となり、検索にも膨大な時間を要します。」
 「そうか。『アルデバラン・ヘキサグラム』『マキシマム・ゴールディメンジョン』のようにはいかんか。」
 「はい。恐れ多くも、あれを使いこなせるのは同志しか、おられません。」
 「むー。・・・あれを民全てが使えればの・・・。うまくいかんものだ。」
 「恐れ多い事でございます。」
 「うむ。・・・まずはこれで、彼の星は我らの物よ。あとは貴公の仕事だ。民全てを連れだせる数の宇宙船を早急に用意したまえ。完成の順に船団を組み、出立させよ。一人も残してはならん。よいな。」
 「はい。既にテストも済んでおり、増産のために人民を総動員するところでございます。」
 「うむ。あの災厄を乗りきった民だ。必ず救出せよ。」
 「はい。同志の意思は民の意思。必ずや望みかなえて見せましょう。」
 「民の居ない指導者など滑稽なだけだからの。」
 「同志?・・・はい。」




――数時間後 アーデン星衛星軌道上 アーデン艦隊 旗艦アーデン 艦橋

 「提督・・・、いえ司令官。全艦発進準備完了です。」
 「よし。アーデン艦隊、全艦発進!」
 「アーデン艦隊!全艦発進!」
 「全艦発進!」
 「第1群発進!」
 「第2群発進!」
 「第3群・・・第4群・・・」




――アーデン星 モニターの前に集まる家族

 「お父さん。あれで、『地球』を守りに行くの?」
 「そうだ。『第2母星』をな。そして、みんなであれの後に続いて宇宙船で追いかけるんだ。父さんも、がんばって宇宙船作らないとな。」
 「どんな星なんだろうね。『地球』って?」
 「『第2母星』って言いなさい。」
 「だって、みんなそお言うから・・・。」
 「またか。」




――アーデン艦隊 旗艦アーデン 艦橋

 「しっ、司令官!未確認船籍です。!」
 「何!」
 「ぜっ、前方に未確認の船籍発見!1隻です。まだこちらには気付いていないようです。」
 「数日前から、このコースは航行禁止宙域だ。航路を譲るよう勧告しろ!まったく!」
 「しっ、司令官!」
 「なんだ!」
 「我々の宇宙船ではありません!」
 「わかっておる!」
 「そうではなく!・・・異星人の物です。」
 「なんだと!」
 「データに登録なし!間違いありません!」
 「んん・・・わかった。戦闘機部隊発進用意。」
 「戦闘機部隊発進用意!」
 「ガス雲を抜け次第発進!速やかに撃墜せよ!」
 「撃墜・・・。」
 「復唱どうした!」
 「はっ、は!ガス雲を抜け次第発進!速やかに撃墜します!」
 「残骸は回収し正体をつかめ!」
 「は!残骸は回収!正体をつかみます!」




2







――6時間後 アーデン艦隊 旗艦アーデン 艦橋

 「未確認船籍の残骸回収完了。」
 「戦闘機部隊、パトロールを終え全機帰投しました。」
 「よーし。では、これより『超空間飛行』に突入する。全艦用意!」
 「全艦用意!」
 「突入!」
 「全艦突入!」
 「第1群突入!」
 「第2群突入!」
 「第3群・・・第4群・・・」




――そのころ、アーデン星からはるか70光年はなれた地球では・・・・

 「全世界の みなさん まもなく 人類史上 はじめての 火星着陸の旅が はじまろうと しています 世界じゅうから あつまった 一万の ほうどうじんの なか 火星有人 ロケットの うちあげ時間が こっこくと せまって まいりました」
 「NASAによる『アポロニクス1号計画』の1機目の発射です。この機体、あの『アポロ計画』で中止されたナンバー『18』を継承し『18番機』とされております」

アポロニクス1号18番機、発射成功。歓喜の声が上がる。

 「ご覧ください。全世界のみなさん。アポロニクス1号18番機、発射成功です。みなで旅の無事を祈り、成果を期待しましょう。いってらっしゃいアポロニクス1号18番機」




――1978年5月 アーデン艦隊 旗艦アーデン 指令官室


 「提督。まいりました。」
 「入れ。」
 「は!何かご用でしょうか?」
 「うむ。貴様は日頃から功績を欲しがっておるようだな」
 「はっ、はい。アーデン軍人として・・・当然と考えております。」
 「うむ。ではチャンスをやろう。今から特務隊員として働いてもらう。」
 「特務隊員・・・ですか?」
 「そうだ。聞くところによると貴様は諜報活動に長けているという。その通りか?」
 「はい。得意分野です。」
 「・・・『地球』へ侵略先遣隊として赴いているヘルダーらにも勝ると?」
 「はい。なぜ彼らで、なぜ私が選ばれなかったのか飲み込めておりません。」
 「ははは。言いおるな。貴様。」
 「実は、わしもな。更なる功績が欲しい。」
 「・・・。」
 「ヘルダーらによって作戦が成功されては、ほとほと困る。ありがたい事に、実際、手こずっておるようだがな。」
 「はあ。」
 「あ奴らが手こずっておる間に、我らの艦隊だけで『地球』を物にしてしまおうと思う。」
 「はい。」
 「『地球』侵略の功績はわしの物になる。貴様も英雄だ。・・・どうだ。」
 「はい。同感でございます。」
 「そこで、貴様の任務だが・・・、先行して、わが艦隊が無傷で『地球』に入れるよう道を作れ。」
 「方法は・・・。」
 「全て貴様にまかせる。好きにやるがいい。」
 「わかりました。ただ、ひとつ・・・聞いていただきたい願いがあります。」
 「なんだと!」
 「いえ。大した事ではありません。『アーデンロボ』に追加装備をお願いしたいのです。」
 「それだけか?」
 「はい。それがあれば私の能力を存分に発揮できます。」
 「聞いておる。貴様の考案したと言う『スパイ=アタッカー』だな。」
 「左様でございます。それと、開発の噂を耳にしております『超空間突入半径拡張装置』の搭載。」
 「なんと、極秘開発のはずだが・・・ふふふ。なるほど。まあよい。好きにしろ。」
 「ありがとうございます。では、さっそく準備にかかります。」
 「うむ。頼んだぞ。お互いの為にな。」
 「は。」
 「ああ、それと。・・・人民代表らには悟られるな。なにかとやかましい。」
 「承知しております。」

1週間後、先行特務隊員アーデン、特務仕様アーデンロボで出発した。




3







――1978年9月 地球衛星軌道上 フレンド=シップ 艦橋

 「たいへんだ 宇宙 かんそく船が きえた」
 「宇宙にいる なかまから れんらくが はいった!」
 「現場はおうし座。アルデバラン系第3惑星、衛星軌道付近。70光年先だ・・・。亜空間通信だが・・・実際に消えたのは・・・1976年1月頃・・・もしこれがアクロイヤーの仲間の仕業で、亜空間移動が可能だったとすると・・・地球への到着予測は誤差も考慮して・・・1978年6月から12月。今じゃないか・・・?」

その場の全員で

 『アクロ要塞!!』
 「すると、アクロ大帝たちは、そこからやってきたのか?」
 「可能性は大だな。」
 「そんな遠い星から来たんなら、この前の損傷くらいであきらめるはずないな。」
 「だとすると・・・すでに・・・」
 「ま まさか アクロ大帝が うごきだし たのでは?」
 「わ わからん」
 「とにかく ミクロマン たちにも しらせて 地球の まわりの けいかいを せねば」





――地球 独立ミクロマン基地

 「ミクロマン 部隊 出動!」




――フレンド=シップ 艦橋

 「ミクロマン 部隊が けいかい たいせいに ついたぞ」
 「よし 地球に だれひとり いれるな」
 ピピピ

 「あ!」
 ピピピピ
 「な なんだ この電波 は・・・・」




――地球 アクロイヤーのかくれが

 ピピピピ
 (アーデン艦隊指令部発。特務アーデン。艦隊は現在『火星』付近にて待機中。報告を求む。返信無き場合『道』は確保と判断。続行する。繰り返す・・・・・・)

 「また へんな電波が ながれて いる」
 「なに!」

 「アクロ大帝 でも ミクロマン のでもないぞ なにかの 通信音 らしいが」
 「まさか われわれ いがいに 地球を ねらってる やつのでは」
 「みんな なにを ぐずぐず している いまこそ あばれる チャンス だぞ!」
 「その ひつよ うは ない」
 「えっ」
 「この電波の ぬしが 地球を ねらってるとしたら われわれの てきにも なる そして ミクロマン どもとも ぶつかる どちらが 勝っても 戦力は おちる ともだおれ に なって くれれば なおさら いい ははははは」

 (「まずいな このままでは ミクロマンどもと はちあわせだ なんとか なかまに しらせ ねば アクロ イヤー どもは あてに ならんし ひとりでは とうてい ミクロマンの けいかいを とっぱ できん」)
 「くそ!」
 「アーデン なにを いらいら している」

 「いや なんでも ない」
 「ははは おちつけ あばれるのは ようすを みてからでも おそくは ないぞ」
 「それまでは このロケット うちあげでも みて 時間つぶしだ」

独立アクロイヤー部隊はモニターの前に集まっていた。

 『全世界のみなさん。おはようございます。まもなく『アポロニクス1号計画』の3機目、20番機の発射が行われようとしております。そして、本日、火星の『アポロニクス1号19番機』からの生中継も予定されております。更に、同じこの日の夕刻、人類初の火星着陸を成功させた『アポロニクス1号18番機』の帰還も予定されております。この一日は人類にとって忘れがたい一日となるでありましょう・・・・・・』

 「そうだ」
 ドドッ
 「アーデン どこへ いくんだ」





4







――12時頃 地球衛星軌道上 フレンド=シップ 艦橋

発射に成功し、地上を離れたアポロニクス1号20番機は、地球衛星軌道上で「燃料タンクロケット」とのドッキングも成功させロケットエンジンを再点火し、最短距離で火星を目指した・・・アーデンとアーデンロボを乗せて。

 「博士も やるな」
 「これが うまくいけば 人間たちも 宇宙へ どんどん でていける ようになるぞ」
 「なんとか 成功させて やりたいな」
 「がんばれよ アポロニクス〜」




――アポロニクス1号20番機 内

 「ひ〜 うまく いった あ〜っ」
 「みつから ずに とっぱ できたぞ」




――アポロニクス1号20番機 切り離されたロケット

 「もう こんな ものには 用はない」

 「急いで艦隊に合流しなければ!アーデンロボ『超空間飛行』突入!」
 ギューンギューン




――アーデン艦隊 旗艦アーデン艦橋 午後

 「なに おもい がけない てきだと」
 「は、はい。ヘルダーらの報告にはありませんでしたが、銀河中に仲間の居る「フードマン」という新たな小型人類です。地球人類と共闘をしかけてきます。そのフードマン。数が知れません。敵に回すには多すぎるかと・・・。」
 「どんなてきかは しらんが おそれるに たらん」
 「われわれの力で いっきに たたきつぶして くれる」
 「おまち ください てきは まちかまえ てます 正面から たたかっては われわれにも そうとうの ぎせい者が」
 「うむ!」
 「提督の言われた通り・・・」
 「地球を せいふく するには われわれの艦隊を むきずで 地球に なだれこませ あいての すきをついて いっきに げきめつさせる いがいに ありません それには やつらを 地球に ひきつけて おかねば」
 「よし それは わしが ひきうけた せんとう機部隊で やつらを かきまわしてやる」
 「えっ!提督が・・・。」
 「提督、自ら・・・。」
 (これで成功すれば、わしの功績だと認めん訳にはいかんからの)
 「それは いい!」
 「しかし その前に やつらの けいかいを とっぱ しなければ」
 「それは わたしめに おまか せを・・・・」
 「手ぶらで戻ってきたと思われては侵害の極み。」
 (「危ない所、地球人に救われた格好だがな・・・。まあいい。」)
 「これで ござい ます」
 「ん!」




――火星 アポロニクス1号19番機

 「船外活動員より、アポロニクス1号19番機、どうぞ。」
 「こちら アポロニクス」
 「すべての 作業かんりょう まもなく きかんします ん」





――NASA コントロール=センター

 「なに!」
 「どうした?」
 「こちら NASA 宇宙飛行士 どうした」
 「テレビ画面が きゅうに うつらなく なって しまった!」
 「こしょうかも しれん しらべろ」

 「こっちは どこにも いじょう ありません」




5







――火星 アポロニクス1号19番機

 「おい どうし たんだ!」
 「帰還が遅いぞ?何かあったのか?」
 「テレビ カメラが いかれて しまった」
 「な なんだって」


 「よし いまだ」

 「ん!」
 「あ」
 ドドドド

 「うまく いった・・・・」
 『こちら NASA アポロニクス おうとうせよ』

 カチッ
 「これでよし。」
 「アーデン、貴様のアーデンロボ。こういう使い方をする為だったのか?この宇宙船ごと『超空間』に突入とはな。たいした奴だ。」
 「はい。提督のお許しがあってこその特務仕様でございます。」
 「はははは。」
 「では、『超空間飛行』突入します。」
 ギューンギューン




――1秒後 地球衛星軌道付近 奪取されたアポロニクス1号19番機内

 「『超空間』出ます。」
 ギューンギューン
 「おお!」
 「うわー!」
 「すごい!」
 「おお!これが地球か?間近で見ると同志の言う通り、本当に美しいな。んん?あれはなんだ?」
 「あれは、地球に帰還途中の『アポロニクス1号18番機』ですな。」
 「そうか・・・。よし。作戦変更!全機あれに乗り換えるぞ!」
 「なぜです?」
 「わからぬか。火星で作業中のはずの宇宙船が帰還するより、本来帰還するはずの宇宙船が帰還する方が、より自然ではないか。」
 「さすが提督。感服いたしました。」
 「ふふ。貴様、わかっておってそう言うか?」
 「恐れ入りす。」
 「うむ。では全機、あれを奪還。移乗せよ!」
 「は!」




――NASA コントロール=センター

 「19番機、応答せよ。」
 「博士!火星の19番機、やはり応答ありません。」
 「何があったんだ?・・・」
 「は、博士!」
 「どうした?」
 「今度は、帰還途中の18番機が・・・現在位置喪失。」
 「なんだって!」
 「だめです つうしんも できません」
 「じこが おきたのかも しれん よびつづけろ」
 「こちら NASA おうとう せよ」

 「パパ!」
 ツー




――
地球衛星軌道上 フレンド=シップ 艦橋

 「たいへんだ アポロニクス のようすが おかしい」
 「ぼくたちは 博士の ようすを みてくる」
 「え!」
 「よし ぼくたちは 火星へ いって みよう」
 「たのむぞ」




6







――フレンド=シップ 艦橋

 「よし、『亜空間飛行』に移行!」
 「ちょっとまった!」
 「どうした?」
 「これ!」
 「これはアポロニクス1号・・・19番機?なぜここに?アクロ要塞の仕業か?」
 「接近して調べよう。」
 「なんてこった。宇宙飛行士が放り出されている。」
 「気絶してるぞ!早く回収しろ!」
 「ミクロ=ブレスト光線 発射!」
 ビビビー
 「回収完了。」
 「19番機はどうする?」
 「む・・・人類初の挑戦・・・。アクロイヤーの手によって失敗に終わらせるのも、かわいそうだ。」
 「よし。火星に戻してやろう。自分たちの力で戻ってもらう為にな。」
 「そうだな。じゃ、19番機回収する。」
 「ミクロ=ブレスト光線 発射!」
 ビビビー
 「回収完了。火星に向け『亜空間飛行』に入る。」
 ギューンギューン




――NASA コントロール=センター

 ピピピピ
 「アポロニクス 1号が みつかり ました」
 「ほんとうか」
 「18番機です。」
 「あいかわらず れんらくは とれません が べつの 衛星が キャッチした とのことです」
 「よかった」
 ワーワー
 「これで ひと あんしん ですね。」
 「ん?」
 「しっ ぼくたちも しんぱいで みに きたんだ」
 「ん」
 「あきら」
 「どうした んですか 博士」
 「え」
 「い いえ なんでも ない ひきつづき こうしんを つづけて くれ わたしは かいしゅう 作業のしきを とりにいく」
 「まだ、18番機、19番機とも連絡がとれた訳ではないんだ。気を引き締めてかかってくれ。」
 「はい!」

 「ふ〜」




――地球衛星軌道上 ミクロマン部隊 警戒網

 「うわあ アポロニクス 1号だ」
 「うおー」
 「18番機だな!」
 「よかったな ぶじに かえって きたぞ」
 「おっと おれたちまで うかれては おれん」
 「みんな けいかいを おこたるな」

 「やった やった!」
 「われわれが のってるとも しらず ばかなやつらだ」
 「いいか 地球に ついたら いっきに あばれ まくれ!」
 「おお〜っ」





――火星 フレンド=シップ艦橋

 「ん!」
 「なんだ あれは」
 「アポロニクスの飛行士だ」

 「いかん さんそ不足で 気をうしなって いる」
 「はやく たすけないと しんで しまうぞ」

 「ミクロ=ブレスト光線発射!」
 「回収完了。・・・どういう事だ?」
 「これは・・・19番機の飛行士だ。・・・そうか!アクロ大帝達が、ここで19番機を奪い、途中で18番機に乗り換えて、気付かれないように、地球に進入する計画だ!」
 「すぐハンスに連絡だ!」
 「我々の小惑星基地にも連絡して、応援を頼もう。」
 「わかった。すぐに地球に向ってもらおう。」
 「おれたちも、19番機の調整が終わったら、すぐに出発だ。」




7







――地球 太平洋(誤記)大西洋上 カプセル回収艇

片貝博士と共にあきら、ハンスもカプセル回収艇に移動していた。

 「博士。NASAから連絡です。19番機との通信が回復したようです。」
 「で、無事なのか?」
 「はい。カメラが故障したようですが無事です。詳細は後ほど。」
 「そうか。よかった・・・。なら、我々は回収作業に集中しよう。」
 「はい。」

アポロニクス1号18番機 予定より2時間早く着水成功

 ピピー
 「ん」
 「フレンド= シップ からだ」
 「いい タイミング しゅくでん かな」
 「な なんだって」




――大西洋上 カプセル着水 海域

 パタパタッ
 「みんな 元気か?」
 「いま とびらを あけるぞ」

アーデンロボにより救助ヘリ、爆破。

 「あっ」
 「し しまった おそかっ たか」

 「たいへんな じこが おきたぞ」

 「それ! いまだ とびだせ」
 「あ!」
 「アーデンめ そうは させる もんか」

フードマン小惑星基地のフードマンから、事の次第を聞いた衛星軌道上のミクロマン部隊も、警戒をフードマンらに任せ、大西洋上に集結。あきら、ハンスと共闘。ここではじめて敵がアーデン星人である事を知る。




――地球衛星軌道上 アーデン艦隊 旗艦アーデン 艦橋

 「あ」
 「な なんだ あれは」
 「フ フードマン だ!」

地球衛星軌道上に到着したアーデン艦隊を待っていたものは、フードマン小惑星基地のフードマン艦隊であった。人命を尊重するアーデン艦隊としては、大規模な戦闘に突入する事に躊躇し、そこで足を止める選択しかできなかった。

 「な なんだって?」
 「なんだって 地球 せんにゅう 部隊が ぜんめつ」
 「提督も戦死?」
 「提督が・・・。なんて事だ!」
 「アーデンも 生死不明」
 「くそ!」

 「人民 だいひょう として これいじょう ぎせい者を だすわけには いかん」
 「むりをして アーデン星人を ほろぼしたら もともこも ない」
 「だから言ったのだ。軍も大した事ないな。」
 「軍部に任せるから、こうなるのだ。」
 「ヘルダーたちは、なぜ助けにこんのだ。この作戦。気付かんはずがないではないか。」
 「止むを得ない。ここは撤退し、同志様の意向を伺おう。」
 「そうすべきだな。」
 「あとの事は同志様にお任せしよう。」
 「全艦、太陽系外縁部まで撤退!」
 「参謀長。よろしいですな?」

 「うう」
 ゴゴゴゴ




8







――大西洋上 ミクロマン部隊

 「グッド ニュース」
 「いま なかま からの れんらくで アーデン 艦隊は ひきあげ たぞ」
 ワーワー
 「よかった 地球を あきらめ たんだ」
 「おっと こうしては おれん」
 「そ それは」
 「アーデンに やられた 宇宙飛行士 だ」
 「アポロニクス1号18番機のね。宇宙に放り出されていたのを救出した。19番機の飛行士と勘違いして火星まで連れて行ったんだが、違ってた。それで・・・」
 「小さくして 火星から つれて きたんだ」
 「まだ 気をうし なって いるが 命には いじょう ない」
 「気がつかない うちに もとにもどして おかなく ては・・・・」
 「ミクロ ブレスト はっしゃ!」
 ビビビビ ビビ
 「これで、彼らは何も知らずに成功を祝う事になる。これでいいだろ?」
 「そうだな。君らフレンド=シップのおかげで『地球』も『アポロニクス1号計画』も救われたな。お手柄じゃないか。」
 「なあに、地球人達にも、早くおれ達に追いついて欲しいからな。」
 「しかしな。まさか、敵がアーデン星人だったとは。てっきりアクロ大帝かと思っていた。」
 「おれたちもさ。これだと、まだ他にも『地球』を狙う者がいるのかもしれんな。」
 「ああ。」

 パタパタパタ
 「きゅうじょ 隊だ!」
 「よし ひきあげろ」

 「おお ぶじだっ たかー」
 「いま たすけるぞ」
 「ど どうしたんだ おれたち」
 「いつの まに こんなとこ ろに・・・・」

 パタパタパタ
 「これで いいんだ」
 「アーデンたちが じゃまを しなければ ぶじに かえれたん だから・・・・」

 「パパ おかえり なさい」




――その日の夜 片貝宅 あきらの部屋 TVの前

 『博士 おめでとう』

 「あきら おとう さんよ」
 「おとう さんが うつってる」




















9