No.00032100


クレーターズ(創作)
(M)A.D.1979/2/xx
(C)A.D.2006/2/xx
保安機関CRIMインテリジェンスエリア
M-142 ハドソン


ミクロナイトMC-007の音声記録  追記(M-142ハドソン)



M-142ハドソンと、M-165ステルス、MC-7の3人は、レスキューアリア通用口の一つに立っていた。

ハドソン この先がレスキューエリアだ。
君らコマンドエリアの向いだから知ってるか。
ステルス 知ってます。
来た事はありませんがね。
興味がないんで。
ハドソン なるほど。
「興味がない」か。
(ほんと。ダニーの言う通り、ハッキリ言うやつだ。)
まあいい。今後はレスキューエリアとの連携も必要になってくる。挨拶しに行くぞ。
ステルス なら、わかりました。


レスキューエリアM-112バーンズ長官室の前

バーンズ ・・・わかったよ。ジェシーに言っとく。
その代わり、こっちは受入れ準備進めておいてくれよ。
そこやっとかないと次、なんにも言えなくなるぞ!頼むぞほんとに!
・・・で、次何?
ハドソン 失礼しますよ。長官。
バーンズ ふーーーっ。
で、なんなんだハドソン。カウンセリングはもう店じまいしてるんだがな。
それより、「長官」は止めてくれ「長官」は。
ハドソン なんでさ。
バーンズ お前に言われると嫌みにしか聞こえんよ。
ハドソン おや。今日の長官は、ご気分がすぐれませんかな?
ご自分でカウンセリングなどしてみてはいかがかと・・・
それとも、ただ虫の居所がよくないだけ・・・とか?
バーンズ あー悪かったよ。その通りだ。
今までみんなで当たってた活動を分担するのはいい。
しかしなあ。この人員の不平等さはなんだ!少数精鋭?
ふん!人手も無しでどうやって人間を救えるんだ?
マシーンだけ渡されたって動かす人間が居ないんじゃあ、格納庫のゴミだよ!ゴミ!
・・・確かに。戦闘に人手がとられるのもわかる。
しかしなあ。救助活動だって人手だよ!・・・
ハドソン わかった。わかった。
バーンズ それに、この人事!
オレがレスキューエリアっていうのは解らんでもない。
地球で言う「昔とった杵柄」ってやつだろ。
だけど、ブラッキーがメディカルエリアってどうなんだ?
あいつがこっちで、おれがそっちの方が合ってるんじゃないのか?どうおもう?
ハドソン わかった。わかったから。
バーンズ それに知ってるか?この人事?
年功序列って地球じゃ言われてるみたいだが、
要は特殊技能持たない奴のメンツを保つ為。とかって言われてるんだぜ。
ハドソン それはそれは、ご苦労な事で・・・。
で、まだ続くのか?
バーンズ ・・・ふーーー。
スマンな。言いたくなるんだよ・・・。
ハドソン 落ち着いてくれてよかったよ。
あちこち覗いて来たんだが、どこも同じだったよ。
今いるメンバーを9等分してるんだから当然さ。
単独での活動なんて元々無理があるのさ。
ボビーだって必至だぜ。顔色、赤青と点滅しっぱなしだよ。
バーンズ ふん。そうか。
確かにボビーも情報屋なんて似合わんな。




1







ハドソン だろ。
ヘンリーは負傷して入院。
ディックら4人は特別任務でメディカルエリアに出向。
古参はオレを含めて3名のみ。
アクロイヤーが動かないよう祈ってたら、これまた南米で不穏な動きときた。
ボビーの心境が想像できるだろ。
オレも本部に居づらくなって南米に偵察って事で出て来た訳さ。
バーンズ なるほどな。
どこも同じだな。
ハドソン 本当は今、新人教育とミクロナイトの検証を任されてるんだが、
このタイミングでそんな事しに行く。なんてとても言えなくてな。
だから任務内容を「南米の偵察」及び「新人のスカウト」って言って出してもらったよ。
バーンズ おおっ。それならオレでもOKする。
ハドソン だろ。だからさあ。
スカウトったって絶対数が増える訳じゃないんだから、結局は各部署、連携するしかないのさ。
全て自部署でやろうったって到底無理。
だったら例えば、オレ達が集めた情報をそっちに渡す。
ボブソンとも共有できていれば防衛は任せて救助に専念できる。
ブラッキーとも共有できていれば現場では応急処置と移送だけで済むだろう。
バーンズ 言われなくたってわかってるさ。
しかし、こう忙しいと言いたくなるのさ。
ハドソン それもわかる。
そもそも、この9つのエリア。
なぜ並列なのか考えた事あるか?
バーンズ 当然だ。
ハドソン なら、そう言う事だ。
バーンズ わかってはいるんだがな。
その連携ってやつ?なれないうちは難しいな。
ハドソン 仕方ないさ。
誰もがそうやって慣れてくんだよ。
バーンズ ところで、任された新人ってやつは?
ステルス 私です。
バーンズ えっ?
ああ君か?頭に血が昇ってて気付かなかった。
(影薄いなあ)
ハドソン お前の思念は読めなかったけど当てようか?
「こいつ影薄いなあ」だろ?
バーンズ 「こいつ」とは思わなかったがな。
ハドソン だから見込みあるのさ。
ボブソンに預けられたんだ。どうだ?って。
ダニーに任せてたんだが、急遽ブラッキーんとこに行く事になったから変わってオレが見てる。
MC-7も同様。ヘンリーが入院しちまったからオレが見てる。
2人とも無口だけど組ませるといいんだ。これが。
バーンズ 無口ねえ。
ミクロナイトはうちにも来てるが確かにしゃべらんな。
で、スカウトってのは口実か?
ハドソン さすが、聞き逃しませんね。
実は本当なんだ。「クレーターズ」って聞いた事あるだろ。
バーンズ ああ。噂では蘇ったばかりで突っ走ってるみたいだな。
そう言えば彼らも特集技能持たない組らしいな。
ハドソン 「組」って・・・
そうなんだ。だからスカウトしにさ。
バーンズ そうか。
じゃあ、リング当たらなかった奴には、うちを勧めておいてくれよ。
ポリスキーパー達だって暫定なんだから頼むよ。
ハドソン さて。ご期待に添えますかな?
バーンズ おいおい。
そう言わずに頼むよ。古参の・・・いや、エリート殿。
ハドソン ははは。伝えとくよ。
じゃそろそろ行くよ。
バーンズ でわな。気を付けてな。
ハドソン 仮にも、わたくしスパイマジシャンですぞ。誰にも見つかりません。
バーンズ おや?ヘンリーはどこにいらっしゃるんでしたっけ?
ハドソン ・・・ごもっとも。気を付けるよ。
よし、ステルス、MC-7行くぞ。




2









クレーターズらは自然とM-251ロビンを中心に集団化されつつあり、彼を中心とした一部が一団となり行動していた。現在、ムーバー級ムーバーベース(拡大型移動基地量産機動機種)011をファクトリーエリアより入手し、南米エイムズ油田付近にて活動を行なっていた。

ハドソン おや。
これまた派手な飛行してますな。
ステルス なにアピールしてんだ。
奴ら何がしたいんだ?
MC-7 ・・・。
ハドソン まあ、そう言うな。
彼らも、何をしていいのか困惑中なんだよ。
ステルス 困惑って。
狙って下さいアピールにしか見えないんですが?
ハドソン そうだな。
ステルス でなきゃ、撃ってきたら作戦通り即反撃。戦闘状態突入。
やった!やっつけました。見て下さい。ってか?戦闘したくて仕方ねー。って感じですよ。
反撃体制整ってるとは、まったく思えませんが?
MC-7 ・・・。
ハドソン そうじゃないさ。
我々の時と違って、蘇ってみたら先人達が組織だった行動をしててみろ。
「オレ達はこんな事ができるぞ」的なアピールってしたくなるもんさ。
その方法が、今は”これ”しか思いつかなかっただけだよ。
ステルス 戦いたい。ってのと同じだろ。
オレは命が惜しいから戦闘はご免だね。
MC-7 ・・・。
ハドソン (ムーバーベース011の思念を探る)
・・・そうでもないさ・・・焦ってるだけだよ。
ステルス ふん。
ハドソン まあいい。取りあえず挨拶と行きますか。
・・・ムーバーベース011 こちらインテリジェンスエリア所属のジェットミラーSC203、及び108、109。着艦したいんだが、いいかなあ・・・


南米エイムズ油田付近上空。ムーバーベース011内。クレーターズ。

ロビン (この世界についてのレクチャーは受けたものの・・・体感無しでは、どうにも理解に苦しむ。
オレについて来た連中も、そう感じてるんだろうか?アクロイヤー。なんで敵をやってるんだ?
本当に話し合いの余地は無いのか?洗脳ってどうなんだ?同じミクロアース人だというのに。
彼らだって蘇ったこの星、この場所がミクロアースに酷似していて愛おしいと思わないのか?
そんなに違ってしまってるのか?どうにか接触できないのか?)


ロビンは自分の感情が愛憎に変わってゆくのを自覚せざるを得なかった。

スティーブ 本部の偵察機3機が着艦を求めてきてるっす。
どうします?
ロビン 偵察機?
何か情報を持って来てくれたのか?いや、止めにでも来たのかな。
スティーブ で、どうします?
ロビン かなり行動してきたが、何の情報も無しではどうになならない事も理解できたし。
アクロイヤーの居場所の情報にしろ、止められるにしろ、
交渉決裂時の戦闘も、しなくて済むならそれでいいか?
レイク そうだな。
せめてもの戦果は事故に遭った地球人を2度助けた事だな。
いいんじゃないか。それで。
ロビン うん。許可してやってくれ。
スティーブ 了解!隊長。
ロビン オレは、いつから隊長になったんだ?
スティーブ まあまあ。そういわずに。
似合ってんだから問題なし。ねえ。
レイク 確かにな。資格有りだ。
ロビン いや。お前に譲るよ。
スティーブ オレは無理っすよ。
ロビン ・・・レイクに・・・言ってんだが。
スティーブ ・・・わっ、わかってますよ。・・・そんなの。・・・ねえ。おれだって・・・
ロビン いいから。着艦許可!
スティーブ イエッサー!




3









ムーバーベース011艦橋

ハドソン 皆さん。お疲れ様。
君がM-251ロビン?
ロビン そうだが・・・いちいちIDはいいだろ。
ハドソン そんな事ないよ。
我々の情報によると君ら「クレーターズ」には「ロビン」が2人居るようだからねえ。
ロビン ふたり?そうなのか?
レイク さあな。
ハドソン そう。2人。
ロビン 知らなかった。
まあ、クレーターから蘇ったってだけでみんな知り合いって思われても困るんだがね。
ハドソン それもそうだ。
しかし、知らなかったのは事実。
知らない事を教えて差し上げるのも我々の仕事なもんだから、
今の君たちになら、なんでも教えて差し上げられますよ。
ロビン ところで、その「我々」はいったい何者なんだい?
ハドソン おっと、これは失礼。
オレはインテリジェンスエリア所属のスパイマジシャンM-142ハドソン。
情報屋って奴だ。これでも古参でね。よろしく頼む。
そして、研修中の2人。
ミクロマンコマンドのM-165ステルスと、メカ・ミクロマンのミクロナイトMC-7だ。
ロビン そうか。インテリジェンスエリアか。
なんでも知ってる訳だ。
ハドソン そういう事。
レイク で、用件は?
いい話?悪い話?
ハドソン その前に、011のデータベース見せてくれないか?
レイク ああ。どうぞ。
ハドソン じゃ、情報管理室借りるよ。


ムーバーベース011情報管理室


ハドソン ほおー。人間の救出ねえ。2度も・・・へえ。
あの派手さでよくアクロイヤーの急襲受けなかったもんだ・・・。
逆に警戒されたってことか?自然にそれをやってのけたってことか?へえ。MC-7。そっちはどうだ?
MC-7 ・・・・・・・・・・・・・・。
ハドソン そっか。そっちはダメだな。
情報屋としては・・・ね。わかったよ。
ステルス そろそろ制限時間いっぱいって感じですが。
ハドソン そうだな。よし。


ムーバーベース011艦橋

ハドソン 情報収集完了したよ。
ロビン で、こっちには報酬はないのか?
ハドソン うまい事言うねえ。
報酬とは言えないんだが・・・しいて言えば「忠告」が。
ステルス しいて言わなくてもだがね。
ハドソン 君は入ってくるな。
ややこしくなる。
ロビン 本部の意向によらない勝手な行動は即刻中止しろ。
とでも言いに。
ハドソン いや違う。
君らの行動に興味があったんだ。
ロビン よくわからん。何の話だ。
ハドソン 忠告1、このまま飛んでてもアクロイヤーには会えない。
忠告2、君ら目立ち過ぎ。
忠告3、以上を考慮した上でのお仕事の斡旋。
ロビン それは、どういう意味だ!
馬鹿にしに来てんのか!
ハドソン いやいや。
どーせこのまま飛んでたってアクロイヤーには遭遇しない。
それどころか君らの行動はアクロイヤーに既にロックオンされている。
やられる前に次の仕事用意してやったから、さっさと本部にひきあげろ!
って事さ。




4







ワイルダー なんっだと!
黙って聞いてりゃいい気になりやがって!
喧嘩売ってんのか?
レイク 止めろ!
オレ達を侮辱しに来たってことかい?
ロビン いや。君の言う通りだ。
本当はオレ達、アクロイヤーと話してみたかったんだ。
しかし、襲っても来なければ、遭えもしない。
戦闘はしたくないし、もともと中途半端な行動だったんだ。
ワイルダー 隊長・・・。
そんな事ないぜ。オレが戦ってやる・・・。
ロビン わかったから・・・とりあえず隊長って言うな。
ハドソン 落ち着けよ。
簡単に心理操作にのらんでくれ。
本当は君たちをインテリジェンスエリアにスカウトしようとやって来たんだがね。
君たちにはベストな部署があることに気付いたよ。お節介かい?
ロビン いや。
聞かせてくれ。
ハドソン その前に、イベントをひとつ。
本当は「インテリジェンスエリアへようこそ!」って仕掛けたんだが。
すべったサプライズって事になったんだが・・・。
ステルス。
ステルス 話し切り上げんの早いよ。
あと12秒。


12秒後。油田の外れの一画に轟音と共に爆煙が立ち上った。

スティーブ アクロイヤー反応!3体!
真っすぐこちらに向ってきます!
10分後に接触!
ロビン なるほど・・・。
これは参った。
で、仕事ってのは?
ハドソン さっきも言ったが君らはとても目立ってた。
目立つ事が仕事と言えば?
ロビン 囮か。
ハドソン まだある。
救助だ。救助隊を狙うのは本来なら躊躇するところだろ。
目立ってなんぼの仕事だ。
ただ相手はアクロイヤーだから今回は容赦なしだ。
ロビン ミクロアース人がアクロイヤーになると、そんなに容赦ないのか?
ハドソン 大抵はそうだ。
しかし、そうでない場合も稀にあるようだ。
うちのディオなんかがその点を調査しているが、まだわからん・・・。

話を戻すが、
しかし、味方戦闘員に目立ちながら、「怪我人がここに居るからオレ達を守れ!」
って、味方にアピールして守ってもらってる間に救助活動を行なう。
ただし、任せてばかりも居られない。
時には自分たちの手で防衛戦闘も必要となる。
その防衛戦闘。君たちにできるだろうか?
できるのならレスキューエリア長官M-112バーンズを紹介したいんだが。
ロビン 守る為。か。
それならオレ達にも迷いはないな。みんな。
レイク そうだな。
ワイルダー オレは戦闘ならなんでも来いだが。
レイク まあ、はやるな。
ロビン。オレも賛成だ。
それぞれに合った仕事があるってことだな。
ロビン そうだな。
スティーブ ・・・。




5







ロビン 決まりだ。
その後で、それぞれの道に進めばいい。
君はミクロマンコマンドの姿をしてるが、インテリジェンスエリアで活躍しているみたいだし。
君の姿を見ていると、それぞれの道があるって思えたよ。な。
ステルス ・・・そ、そうだろ。
レイク そうだな。
焦る事ないな。
ハドソン で、どーする。
この状況。
スティーブ 接触まであと3分!
ロビン 無駄な戦闘はやめておこう。
ステルス そーいうの。好きだぜ。
ワイルダー オレはもっと・・・
レイク わかった。わかった。
その時はおまえに任せる。
ワイルダー おう!任せてくれ!
スティーブ あと1分!
ロビン よし。富士本部へ向け、撤退!
レイク お前らしいよ。
ロビン 何がだ。
レイク いや、なんでも。


帰港中の011艦橋

ロビン ハドソン。
ありがとう。
オレ達、立ち位置つかめず、無鉄砲だった。
礼を言わせてもらうよ。
ハドソン いやいや。
礼は、形のあるもので・・・。
ロビン 形・・・?
ハドソン 実はさ・・・
冗談抜きで頼みたい。
1人欲しい。
いやー、うちのエリア、人手不足でさ。さっきも言ったろ。
手ぶらで帰ったら長官に何言われるか・・・。
ロビン ははは。
しかし、そう言われてもなあ。
情報屋みたいな仕事は、なかなかなあ・・・
スティーブ オレ・・・どーっすか?
ロビン おっと。居たようだ。
いいのか。本当に。
情報屋は厳しいらしいぞ。
スティーブ 大丈夫ですよ。ねえ隊長?
ハドソン おいおい。
オレの事かい?
スティーブ そっす。
ハドソン んー・・・・・・。
ロビン スティーブ。
適性で不合格らしいぞ。
スティーブ そんなあ。
ハドソン いや!
君には才能がある。
スティーブ ほんとっすか?隊長?
ハドソン ああ。
なあ?ステルス。
ステルス えっ!あっああ。
(才能って、まさか、体の色じゃないだろうなあ・・・。)
(!!っまさか!オレの時も同じ理由か?!)
(おいおい。冗談じゃないぜ。一緒かよ。)
ハドソン 合格だ。
ようこそインテリジェンスエリアへ。
ロビン よかったな。
スティーブ はい。隊長。
ロビン 隊長2人になってるよ。
ステルス (オレ知ーらね。)
MC-7 ・・・。




6