No.99002110

フィギュア王 NO.23
    (1999年07月号)




タカラ公認
ネオ変身サイボーグ1号 オリジナルストーリー


サイボーグサーガ


第11話  「この世界に未来を!ワルダー最終作戦」



■銀河中心核

もはやそこには暗闇は存在していなかった、周囲全てが星の光に満ちあふれまぶしい光の洪水の中でついに暗闇の皇帝は、長考を終え邪悪な軍団達の前に姿を現した。そこにはアーデン、デスキング、数々の悪のトップ達がいた。

 「諸君、いよいよだ。宇宙時間で明日、アストロキィを作動させる」
 「ではこの世界も見納めか」
 「本来なら、もっと早く始まる筈だったがな」
 「銀河の英知でこの宇宙を滅ぼし、遺伝子レベルの恐怖による支配を受けた新しい世界を創造するのだ。すべてが我らの意のままになる、絶対支配世界を」
 「だが、ひとつ恐怖を拒む星がある」
 「地球か・・・、やっかいだな。あの星の存在で恐怖支配の影響が薄くなる」
 「ふふふ、では、最後に地球を滅ぼして、神になるとしよう」




■地球ノーチラス基地

サイボーグ1号は、ダークスターとの死闘により重大な損傷を受けてしまった。原子力発電装置は破壊され、人工頭脳は停止してしまった。片貝健一は死んでしまったのだろうか?いや、そうではない。かって1号の体に影響を与えたレッドギャラクシー星のエネルギーハートが赤く光り輝いていたのだ。


片貝健一は深い闇の中にいた。

 「ここは・・・、そうだ思い出した。あのレッドギャラクシー星で眠っていた時と同じだ」
 「あの時、レッドギャラクシーのエネルギーを浴びて・・・」
 『そうだ健一、君は僕らと一度会っている』

そこに不思議な姿が浮かんだ

 「クロスレインボー隊のサイボーグ・・・」
 『そうだ、かつてこの銀河を守るために僕らは戦った』
 『だが、結果的に僕らは敗れた』
 『そして未来へ向けてタイマニックを送った』
 『しかし間に合わなかった。もう時間がない、キングワルダーは最終作戦を実行するだろう』
 『最後の切り札は君なのだ』

 「僕が・・・」
 『君はもう、答えを出さなければならない』
 「答えを?」
 『生命が目指す究極の姿が、創造主たる「神」ならば、ワルダーは今、神になろうとしている』
 『ワルダーを否定するなら、別の回答を出さねばならない』
 『結論が同じなら、ワルダーを倒すことは無意味なのだ』


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■地球ノーチラス基地

 「健一の体は一体どうなったのだ?」

その体の異常には片貝博士ですら手が着けられないでいた。

 「彼はまだ、死んではいません」
 「む、君は誰だ!」

ネオノーチラス基地に突然謎のサイボーグが現れた。その姿はかってサイボーグ1号変身していたアポロイドZの姿だ。

 「アポロイドZ!?」
 「博士!Zから激しいエネルギーが検出されています!」
 「これはαH7!!」

ミクロマンコマンドが驚愕の声をあげた!αH7!それは変幻自在の特殊ガス体であり、地球の古代科学にも影響を与えた謎の物質なのだ。

 「結局、恐れていた通りになりました・・・歴史はもう変えようがない」
 「歴史が・・・?」
 「片貝博士、私は、あまりこの体を維持することは出来ません 片貝博士352.435メガヘルツのクリスタル発信機を準備して下さい」

ミクロマン達が反応した

 「君は、何故その周波数のことを?」
 「もう、時間はありません早く」




■地球 - 東京20時

ギャオーン!夜の街に怪獣ゲイモスが暴れている。ゲイモスはキングワルダー一世直属の最強怪獣だ。ビルが玩具のように壊されて街は燃えさかる炎で昼間のように明るい。しかし、人々は逃げまどいながらも希望を持っていた。自分たちには救いのヒーローがいるのだ。シュババー、銀の光の閃光だ!

 「空に星、地には命、そして心に光!サイボーグ99!」

その姿は、健一の後を継いで勇敢に戦う斗馬一矢!ダブルナインだ!

 「99マグネダッシュパンチ!」

強力パンチが怪獣にアッパーカットだ。

 「さかしいぞ、斗馬!」

ワルダー二世の声が響きわたる

 「黙れ!ジン!、片貝先輩のためにも絶対に屈しはしない!」
 「その生意気もいつまで持つかな、見ろ!空を!」

夜空に不気味な輝きがうなり星が次々と消えていく。

 「何!」
 「最終作戦は発動した。どうあがいてもお前達には未来はないのだ!」






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片貝健一はテレパシーで99の戦いを見ていた

 『健一、お前は弟の健吾に希望を説いた』
 『だが、まだ希望があるのか』
 『世界はワルダーの暴力に飲み込まれようとしている』
 『一対∞の力の差だ』
 「・・・」
 『健吾は絶対的な力に絶望した』
 『ダークスターこそ人間の心の素直な姿なのだ』
 『根拠のない希望など救いにはならない』
 『それとも死の先を説くか?』
 『ならば、生きていることとは何だ?』

絶対的な力の差、さすがに健一の心にも暗い影が降りようとしていたその時!

 「健一さん」
 「・・・その声」
 「健一さん、健一さん」
 「君は・・・」

柔らかな、暖かい声だった。それは遠い昔に失った・・・

 「目覚めて下さい、健一さん。もう時間がありません」
 「君はこのために・・・」
 「私の存在全ては貴方のためにあります」
 「そうか・・・」

健一の心は優しい気持ちで包まれていた。

 「クロスレインボー隊、僕は答えを見つけました生命は何処から生まれ、何処へ行くのか」
 『見つけたか・・・』
 『ではそれを信じるが良い』

 「有り難うクロスレインボー隊」
 『君達に未来を』




■地球 - ネオノーチラス基地

 「健一君の人工頭脳、再起動を確認!」

カシャカシャ銀色のサイボーグが再び動き始めた。

 「おお、健一!」

片貝博士の顔は涙で溢れていた。ミクロマンをはじめとする仲間達も安堵の声をあげた。健一はじっとアポロイドZを見つめている

 「会いたかった・・・真理」

アポロイドZはマスクをゆっくりと外した。そこには美しい女性の姿があった。片貝真理、1999年にワルダーの襲撃によって瀕死の重傷を負った健一の妻だ。

 「健一さん。私は、未来から来ました・・・」




■次回予告

ついに運命は最後の時に向かって動き出す。地球は!そして片貝真理の語る未来とは!次号最終回第一部「ダークスターの戦い」を待とう!

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