ミクロマンメカニックの世代比較
ミクロマンの乗り物の速度などの性能が、初期は非常に高く設定されていたのに、
後期になるほど現実的になり、省力化が進んだといわれている。
ここではそれをデーターとして提示し、今後の議論の呼び水としたい。
ミクロマンのメカで、最高速度などの性能が明らかになっているものを、登場した順番に対数目盛上へプロットしてみた。陸・海・空ごとに描いた近似線は右下がりとなっており、新しく開発されたメカほど速度が低い傾向があることがわかる。
登場順序については、『タカラSFランド大全集』付録CD-ROMのデータに従った。速度を比較するに当たって、マッハ1=1224km/h、ミクロマッハ1=12240、1ノット=1.852km/h、ミクロノット1=18.52km/h、光速=1080000000km/hとして単位を統一した。参考とした資料は、ミクロマンのカタログや説明書、商品の箱に書かれた説明、テレビマガジンのミクロマンクラブ記事、冒険王のミクロマン豆知識、ミクロマンブック、ミクロチェンジ秘密指令カードである。ミクロマントレーディングカードで補った部分もある。昭和53・54に登場したフードマン、ポリスキーパー、レスキュー隊員の性能は、公式のスペックが全く明らかにされていない。移動基地、ロボットマン2やアーデンロボは、重要なメカであるにもかかわらず、公式スペックが存在しないと思われる。また、タワー基地、タイレルマシン、サーベイヤー基地、ロボットマシーンZについては、ここに掲載したものよりも信頼できる資料が存在する可能性があるが入手できなかった。
念のため、スペックの断絶があった昭和53・54年を挟んでの比較、敵側メカ、ミクロチェンジをも含んでの比較を避けて考察をおこなってみる。ミクロマシーンからサーベイヤーまでのミクロマンメカに対象を絞った結果が下の図である。
飛行速度の近似線はわずかに増加傾向を見せているが、光速飛行が可能なUFOタイタン2とタイタンコマンドが突出しているのが原因であろう。それ以外には後半で高速機が増えたという印象は薄い。そこで、光速機を除いた近似線を描いてみる。
やはり新しいメカほど速度が低下するという傾向は著しいことがわかる。最初期を凌ぐ性能を持つものの登場はメカ・コスモのエスカルゴとマリンコプターくらいで、それ以後は初期の性能を上回ることはない。
次に、メカのパワーについても、古いものほど大きくなっているかどうかについて、データを収集してみた。
動力に何を使っているかはわかっても、出力が判明したものはあまり多くなかった。それにしても、後期にも出力の高いメカはたくさんあるようだ。
ところで、最初期のビームトリプラーの50万馬力は、小型機ながら非常に出力が高いことがよくわかる。ロボットマンの出力データーは判明していないが、ミクロマン豆知識によればロボットマンゴッドファイターが80万馬力のデスキングより出力が劣っていることがわかっている。ビームトリプラーはデスキングやロボットマシーンZには及ばないまでも、初代ロボットマンに比肩するだけのパワーを持っていると考えられる。
また、パンチロボはロボットマンゴッドファイターよりも出力は高いということになる。実物を見た印象ではパンチロボはそれほど強そうではないのだが、ミクロマンパンチが搭乗しているからだと考えればさほど不自然なことではない。
それでは、初期のメカニックが非常に高い性能を持っていることの原因を考えてみよう。
担当者の認識不足か?
ミクロマンクラブに載ったタイタンコマンド5号の記事で、「スピードはなんとマッハ5。いままでで一番はやい」とある。地球人のジェット機などと比べれば驚くべき速さだが、実際にはその程度のマシーンはミクロマンにはたくさんあった。性能を設定する担当者が、いままでのメカの性能を認識していないことをうかがわせる記述である。所詮、子どものおもちゃに細かいことを言ってはいられないということだろうか…。
ブレストの超能力
特に性能が高いメカは、最初期のミクロマシーンである。これらはグリーン・オレンジ・イエロー・ブルーの各ブレストを装着したミクロマンが操縦することによって威力を発揮する。メカの性能というより、ブレストの超能力によるものだと考えられるので、小型機でもスペックが高いのは決して大げさなことではない。従って、色変え再販のミクロキット、ジャイロットU・ホットローダーU・ビームトリプラーUは、ブレストのないミクロマンが操縦してもそれほど高い性能は発揮できないはずだ。
初代コスモ・カーは初期のマシーンではない?
しかし、性能の高い初期メカニックはミクロマシーンだけではない。その他の初期メカニックの高性能はどうなっているのだろうか。
コミックボンボン昭和59年2月号に「スペースバギー、バルクリフター、エアローダーは、ミクロアースにおいて、惑星開発や基地防衛に使用されたメカだ。」という記述がある(エアローダーはスカイローダーの間違い)。これが事実だとすると、初代コスモ・カーの3機は初期メカニックの範疇から除かなくてはならない。
勿論、4人のミクロマンが分子結合をおこなってコスモ・カーを作り出し、これに乗って地球を調査したのも事実である。
もしかしたら、コスモ・カーとは、ミクロアースで使われていた乗り物を地球上で「再生」したものなのではないだろうか。設定にあるような高性能も、ミクロアースで使われていたときの性能であって、ミクロ化した彼らが使うとそれ程の性能は発揮できなかったのではないだろうか。それをブレストの超能力で多少補えることはあっただろうが、使い勝手は悪いだろうことが予測される。そのせいかどうかわからないが、初代コスモ・カーは短期間しか使われていない。
余談であるが、マガジンゼロゼロの「ミクロアースの交通機関」のページで、移動基地と思われる機体が都市の上を飛んでいる様子が見られる。ミクロアースで使われていたものを地球で再生することはよく行われるようだ。
人間の世界とミクロマンの世界の結びつきのために スパイヘリの箱には次のような解説がある。 ミクロマンが地球上で活動をする場合にミクロマン自身や乗り物があまりにもスピードがあるために、人間の動きや人間社会を十分に観測することが出きない。そこで開発されたのが、超低速飛行で威力を発揮するスパイヘリだ! このヘリコプターは、ゆっくりとしたスピードで飛行ができるので、人間社会をくまなく調査することができ人間の世界とミクロマンの世界の連絡や偵察にはかかせないマシーンのひとつだ! つまり、ミクロマンメカニックの速度低下は、強いられたものではない。人間に歩み寄ろうとして自ら律した成果なのだ。 我々には、そのような考え方ができるだろうか。山を切り開き、湿地をアスファルトで覆ってスピードを追い求めても、決してそれについて来れない存在もいる。動物の轢死体を目にするたびに私はハッとする。今度は人間が歩み寄る番だ。 |
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