ミクロアース物語 0.20

アマゾンにナゾの遺跡?

 君、知ってるかい?正確な地図もないアマゾン河の上流に、ナゾの小山群があることを―――
 「オヤ、これは何だろう?」アメリカ航空宇宙局(NASA)の衛星写真を見ながら、まぼろしの都市パイチチをさがしていたペルーの考古学者はおどろきの声をあげた。よく見ると自然にできたにしては、キチンとしすぎた小山が10個も写しだされているではないか。1976年のことだった。
 それは、空を飛ぶ者に何かを伝えているようにも見える。考古学者の胸はたかなった。……これこそ、黄金に目がくらんだスペイン人に追われたインカの人々が、アマゾン奥地につくったと語りつがれる伝説の遺跡では……
 河口から6,000キロメートル以上もさかのぼってアマゾン河上流へと、まぼろしの遺跡を求めて、各国の探検隊は神秘の世界へふみ入った。日本の探検家、関野吉晴さん(30)もその一人だ。
 ひとつひとつの小山は、遠くから見るとピラミッドに似ていた。うっそうとしげったジャングルにはばまれて、小山のナゾはまだわからないままだ。

●ナゾの遺跡は世界中に
 ペルーのナスカ高原には、地上ではただのミゾにしか見えないのに、飛行機からは動物や幾何学もように見えるきょだいな絵がある。大昔の人がどうして、こんなに大きな絵をかいたのか?……宇宙人の交通標識だったのかも――君はどう思う
 イギリスのストーンヘンジ、中央アジアの宇宙パイロットの岩絵など現在の科学でもよくわからないナゾの古代遺跡がたくさんある。なかにはミクロマンがつくったものもあるんじゃないかな。



 「クレス、アダム スクランブル――目的地アマゾン。」 バーンズ長官の命令がレスキューエリアになりひびく。ギューン……クレスとアダムが操縦するレスキュー基地は、地球本部を飛び立つ――
 NASAの資源衛星からの電波をキャッチしたスパイマジシャンが重大な発見をしたのだ。アマゾンの奥地のナゾの小山群に、αH反応が感じられる。アクロイヤーたちが人間の大切な資源をぬすみだして、小山の地下にかくしているようだ……ソウダ メキシコの油田が、トツ然かれてしまったのもアクロイヤーのしわざにちがいない。
 上空から、スペクトルMX光線で、ナゾの小山を透視していたアダムがさけぶ。
「小山の地下はメキシコに続いているぞ クレス高度を下げてくれ。」
メキシコの石油は地下道を通じて、ひそかに、アマゾンに移送されていたのダ!!
「着陸準備OK、オヤ、おかしいぞ アマゾン河の水が逆流している。地めんが動いている。アッ!バランスがとれない―――アダム気をつけろ………。」不時着したレスキュー基地をもうれつな狂気ガスがおし包む。河岸のドス黒いドロの中から、次々と現れるアクロイヤーアマゾン、ウロコマン、トカゲラス………
 ドスッ――アマゾンキックだ。キューン――あぶない!ウロコショットをかわせ!フイをつかれたレスキュー隊は大苦戦………
 バルルーン、エンジン音が聞こえてくる。アマゾン河のだく流を渡って水陸両用レスキューサーボが応えんにやってきたのダ。
「ミサイル発射!!
「ベースマシン発射!!
「ジェッター・ボンゴ発進スタイバイ――ゴー!! 」 反ゲキに移るクレス、アダム――えん護するサーボマン――レスキュータワー基地もとう着だ。もうアクロイヤーアマゾンなんかに負けはしない。空からはジェッター攻ゲキ、地上からはボンゴが……1人、2人、3人……アクロイヤーアマゾンはドロの中へにげ込んで行く。
 クレスとアダムは勝ったのだ。地球の資源も、無事にとりもどした。今は、メキシコの油田からも順調に石油はほられている。このはげしい戦いに気がついた地球人が、はたしていたであろうか。

 クレスの談話―苦戦しました。アクロイヤーアマゾンににげられたのが残念です。かれらは、また準備をととのえて、悪事を働くでしょうから、警かいが必要ですネ。



探検家
せきの よしはる し
関野吉晴氏(30才)
1971年に6,000キロメートル以上のアマゾン河をゴムボートで下ったのがやみつきで、この9年間の3分の1はアマゾンですごす。原住民の友達も多い。7月にはアンデス文明の起源を求めて、ふたたびアマゾン河水源地帯(マラニオン)へ。アマゾン行きは9回目。一橋大卒業後、横浜市立大医学部(4年生)へ。これも探検を続けたいから。

 原住民の案内2人とツンツヤの集落を出発、アマゾン河の水源地帯パンチャコーヤに向かった。南米ペルーに残された“最後の秘境”パンチャコーヤには昔から、インカ帝国の皇帝が築いた金鉱を開発するための黄金都市があるという伝説があった。
 しかし、そこにはマチゲンガという原住民が住んでいるが、白人など外部の者はほとんどはいれなかった。以前、フランス人2人とアメリカ人1人の探検隊がやはり黄金の都市を探すためにはいっていったがそのまま行方を断ってしまった。土地の人たちは一度入ったら二度と出てこられないところだ、と言って恐れていた。
 アマゾン河も水源地帯となると水の流れも早い。力いっぱいさおをささなければ流されてしまう。
 旅の食料はすべて自給自足だ。弓矢で魚をとったり、出くわした動物や鳥を射とめて、焼いたりにたりして食べるのだ。よくとれる動物はサル、バク、イノシシ、ワニだ。ワニは白身の魚のような味だ。
 乾季のアマゾンは水量が少なく、水位は1メートルにも満たなかった。だが上流に進むにつれて、岩石がごつごつとつき出した浅瀬が多くなり、そうした所では川に入って、カヌーを引っぱり上げなければならなかった。
 シンシヤの町を出てから3日目の午後、ブチャーロという所に出た。ここには、いつの時代にほられたのかもわからないナゾの岩絵が残されていた。
 河岸からはなれたところに高さ10メートルほどの岩壁がつづいている。その前をおいしげっているジャングルを蛮刀で切り開いていくと岩壁の真下にでられる。そこの地面すれすれのところから2メートルほどのところまで岩絵がハッキリと、ほられていた。
 案内人が「だれがほったんだと思うね。」と私に聞いた。「ここに住んでいる原住民じゃないのか。」と答えると「ゼッタイにそんなことはない、かれらかものをかくことをしらないし、この岩絵はずっと古いものだ。」という。
 確かに岩絵のほられている岩壁はかたく、ほりも深い。深いところでは1センチ以上になっている。そこらへんにおちている川原の石ではとうていほれそうにもない。特別に固い石、あるいは金属を使ったように思えた。サル、ヒト、ヘビ、カエルなどさまざまな絵がほられていた。黄金都市をつくり、住んでいた人々がほったのだろうか。
 そこから上は徒歩で進むことになった。川幅がせまく、流れが急で、この先はカヌーで進むのは不可能だったからだ。
 進むにつれて、両側は険しいガケになった。その岸壁の片側にだけ、どうにか歩けるほどの川原がつづいている。しょっちゅう川を渡らなければならない。場所によっては、胸までつかる深みを渡った。翌日もまた次の日も、川原に沿って前進を続ける間には、ジャングルの中を歩かなければならない。
 ジャングルの中はウス暗く、ツタがかぶさるようにしげり、とげのある植物が手足や衣類にまといつく。
 数十メートルも続く赤アリの大群や1匹で3センチもある黒アリにも注意しなければならない。赤アリも黒アリもかまれると飛び上るほど痛くはれあがる。大型のハチも難敵だ。
 このようにして半年間にわたりパンチャコーヤを歩きまわり、岩絵など黄金都市の手がかりをつかんでアマゾンを去った。



※ このページの内容は、1979年7月15日発行のMFC新聞Vol.1から引用しました。


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