ミクロアース物語 2.00+0.01

ネオ・ノーチラス

地球をはじめ、火星や金星などの惑星群は、恒星である太陽を中心に太陽系というグループを形成している。太陽のように星自体が原子力の巨大な“かまど”のように燃えて光り輝く星を恒星といい、生物は恒星のまわりをまわる惑星の中で引力や大気など、あらゆるエネルギーがちょうどよい星に住みついているのだ。
その太陽系も気の遠くなるような大きさの銀河系の中では約百億個も存在し、さらにその銀河系のそとには銀河系ほどの小宇宙を無数にかかえた無限の大宇宙が広がっている。そんな大宇宙の中には地球のようにめぐまれた自然環境をいだく惑星が数えきれぬほどあり、そこには信じられない生命力と科学力をもった高等生物が、地球よりもはるかに進んだ文明を築きあげて、どこからともなく地球をあざわらうかのように見つめているかもしれない。いや、宇宙人はもうすでに宇宙円盤UFOによって地球上に出没しているのだ。

UFO…謎の飛行物体、空飛ぶ円盤を見たという人達の数は最近、益々と増えている。見ただけではなく、写真に撮ったり、宇宙人と実際に会って円盤の中へ案内されたという人間もいるのである。国連の宇宙局では、人工衛星や航空機によるUFOの調査を続けてきたが、ほとんどの話は雲や飛行機などの影の見間違いや作り話であり、円盤写真もトリックをつかったニセ物であると断定し、UFOや宇宙人は存在しないと発表して調査を打ちきってしまった…。
だが、ここに宇宙人やUFOを信じている一人の科学者があった。海底基地ネオ・ノーチラスでサイボーグの研究をしている片貝博士である。 

バオオオーン…巨象が叫ぶ、ガオオオーッ…ライオンがほえる。草原から、湖から、鳥たちがとびたつ…。ここはアフリカだ。ダルエスサラムの野生動物保護区では、中学生の片貝健吾が兄の健一夫妻とともに、絶滅しかかっている猛獣たちの保護に力を注ぎ、忙しい毎日が続いていた。健吾は野生の豹の子を育て、ジャガーと名づけて可愛がっていた。
ある日、象・キリンをはじめ多くの動物が何者かに殺害されたという恐るべき知らせを受け、一行はジープで調査に向かった。現場はまるで地獄のようだった。高熱の放射線で、動物達は焼き殺されていた。「地球上にこんな兵器はない」。健吾と健一は怒りにふるえて言った。
その時、近くの丘からキーンキーンというエンジン音とともに金属的な響きの嫌な声が聞こえてきた。「フッフフフフ…われはワルダー。宇宙の支配者ワルダーだ。地球人よ、ただちに文明を捨てよ、さもなくば全人類もこのようになる」。
そんな脅しにのるものか」。健一はすぐに国際警察を緊急無電で呼び出した。その時、地中から怪円盤がゆっくりと姿を現わした。ジャガーがほえた。「危ない」。一行はジープに飛び乗ると、猛スピードで走り出した。しかし怪円盤から一瞬走った光線を浴びて、彼らはぼろきれのように吹きとばされていた。
無電によって飛んできた国際警察のヘリコプターは、砂の上にばらばらに倒れている健一や健吾、ジャガーたちを発見した。もちろん怪円盤の姿はすでになかった。
彼らの父、片貝博士は日本海溝の東にあるシートピア(海底都市)ネオ・ノーチラスの中心人物である。《ネオ・ノーチラス》は宇宙の侵略者から地球を守るために作られた海底基地で、サイボーグ(改造人体)の研究所だ。
知らせを受けてとんできた博士は悲しみにうちひしがれたが、「いや、まだ脳は生きておる、サイボーグとしてなら再生できるに違いない。全員の肉体を冷凍保存室へ運ぼう」。そう言って遺体と共にネオ・ノーチラスへひきあげた。
1999年1月1日…いま、博士の研究室ではサイボーグが生まれようとしていた。その前身は片貝健一だ。銀色のカプセルから静かに起きあがったサイボーグ1号は「お父さん」。と呼びかけた。「心配するな、健吾も、お前の奥さんも、助手も、ジャガーもみんな無事に冷凍室に眠っているよ」。「わたしのようにサイボーグ化されるのですね?いつ会えるのですか?」。「第2号は健吾のからだを使う。今研究中だ」。
それから1年後のある日、博士の開発したいろいろな武器の訓練をしているサイボーグ1号の前に、小さなサイボーグが現れた。サイボーグ1号はテレパシーで呼びかけたが通じない…。その時「お・に・い・さ・ん」と、そのサイボーグが叫んでとびついてきた。健吾がサイボーグ化されたのだ…少年サイボーグが誕生したのだ。兄弟はしっかりと抱き合った。
少年サイボーグの超能力は、まだ少年なので完全に使いこなせなかった。サイボーグ1号と力を合わせるW攻撃の訓練や、サイボーグライダーを乗りこなす練習が毎日続いた。そのころ、片貝博士はジャガーのサイボーグ化に苦心していた。ジャガーは野生の豹なので、脳の中の野生の本能と、飼いならされてからの知能のバランスがとれないのだ。そこで、博士はやむを得ずジャガーに〈2つの心〉を持たせて完成させた。
サイボーグ兄弟とジャガーはこれからどのように力を合わせて、宇宙の敵ワルダーに立ち向かって行くことになるのだろうか。
次の情報を楽しみに待とう。


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奇跡を受け継ぐ星 地球防衛大作戦


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