ミクロアース物語 2.00+0.02 |
◆地球防衛大作戦◆
ある日、ジャガーをひきつれてアフリカのサハラ砂漠をパトロールしていたサイボーグ達はウラデス台地という古代遺跡の中で地球上のものとは思えぬ不思議な絵や文字を発見した。さっそくネオ・ノーチラスにもちかえり調査をした所、ウラデスの遺跡は原始時代にやってきた宇宙人達の地球基地であり、同心円状のウラデス台地は宇宙円盤の離着陸場であることが判明した。
それから数日たったある夜、サイボーグステーションCX−1のコスモスクリーンは怪光線をだしながら地球に接近する3機の宇宙円盤をうつしだした。その円盤の形が、ウラデス遺跡の壁画とそっくりな事に気づいた片貝博士は残る資料の解明に全力をかたむけ、驚くべき秘密を解き明かしたのだった。
地球上にやっと人類が誕生した頃、遠い宇宙のアンドロメダ星雲では、宇宙の侵略者ワルグロ星人による侵略戦争が続いていた。平和な文明の惑星プリズマ星はその魔の手にかかり、無残にも滅亡してしまった…。最後まで抵抗を続けたプリズマ星の若者アンドロイドA(エース)は、死刑よりも残酷な宇宙の島流しにあい、無軌道ロケットにとじこめられて暗黒の宇宙へ放り出された。200万光年もの宇宙をさまよい続けたロケットは、偶然にも地球のサハラ砂漠に激突。アンドロイドAは深い傷を負いながらも、地球脱出をめざして、サハラ砂漠のウラデス付近を開拓したが、基地の完成を目前にして、不運にも流星の衝突にみまわれ、Aは大爆発とともに地底に埋もれてしまったのである。遺跡の謎の壁画と文字は、その事を書いたAの日記だったのだ。それは、2000年前もの出来事であった……
この事を知った片貝博士は1号・少年・ジャガーを呼びあつめてアンドロイドAの救出を命じたのだ。
「ピッピッピー」1号の眼が遺跡の地中を透視しようとするが謎の物質でできた遺跡は視界をさえぎり、レーザー光線で掘りおこそうとしてもなかなか作業がはかどらなかった。その時、ジャガーのするどい耳が超短波の信号をとらえた。「おお! これはAからの信号音だ」音波の出どころでAをつきとめたサイボーグ達は、テレパシーでサイボーグライダーをよび、マグナム超流体エンジンのエネルギーを全開にして地中深く掘り進み、土のかたまりもろともにAを地上へ救出したのである。土の中からあらわれたAのボディには二千年も前のものとは思えぬ電子メカがほどこされていたが、プリズマ星人としての生命はすでに死んでいた。
そのままサイボーグステーションCX−1にかつぎこまれたAのボディは、片貝博士を中心としたネオ・ノーチラスのプロジェクトチームによって未来電子工学のすべてが導入され、アンドロイドAとAを母体にした超人とロボットが堂々完成されたのだ。
「地球の皆さん、ありがとう。ぼくは地球人になりきって地球を守ります。宇宙平和のため、全力をつくして戦いましょう。」アンドロイドAはサイボーグとともに固く誓いあったのです。
それから数週間…、謎のUFOによる人工衛星や宇宙ロケットが次々に破壊される事件をキャッチしたサイボーグとアンドロイドは、月の裏側で遂にUFOの姿をとらえ戦闘を開始した。
「それ! いくぞ少年!! 」「はい兄さん」「続け! ジャガー。プラズマイザーを装備しろ!! 」。「よし! Aは逆サイドから攻撃だ!」
キーン! ズビビビー! ピカーッ! ドガーン!!
サイボーグ達の三身一体からなるトリプル攻撃作戦、アンドロイドの超科学武器マグナムショットやスペクトルビームそして宇宙人のコクピットによる戦闘や奇怪な武器攻撃の応酬は凄絶をきわめ、すさまじい大音響とともに、不気味な閃光が暗黒の宇宙をゆるがせた。
アンドロイドとサイボーグの奇襲攻撃にひるんだ宇宙人は、命からがら火星へ向けて一時退却していった。
「クッククク…おろかな地球人どもめが、今日の所は二千年の間に成長したお前達の科学力をほめてあげるが、我々の力をあまくみるなよ。クッククー…。」その不敵な笑いは全世界に響きわたり、人類を恐怖の底に落し入れた。初めての戦闘で退却はさせたものの、宇宙人の科学力をイヤという程みせつけられた片貝博士は、今後の戦略ではきっと武器の不足をきたし、おそらく宇宙人にたちうちができなくなるだろう、分子結合による新兵器を開発しなくてはならないと悟り、その設計図づくりに着手したのである。