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第1部 第6話  ■冒険王1982年12月号■

〈あらすじ〉

アクロイヤーのUFOが強力な光線でミクロマンを襲ってきた。
エイジは銃で反撃した。
すると、円盤のスカートの下に太い胴体が伸び、さらに足が伸び、
着陸用球形ギアを手とした腕が伸び、頭が出てロボットになった。
イリヤはマザーコスモに応援を要請する。
ロボットのパンチはミクロマン数人を一度にブッ飛ばした。
ものすごいパワーで、ケンジたちの手に負えそうになかった。
巨大な足がケンジをせんべいにするかというその時、
コスモガンダーが足下をくぐってケンジを救い出した。
ミクロガンダー3が間に合ったのだ。
ケンジは機首に装備された2連装の銃によるコスモアタックでロボットを翻弄した。
すかさずオルガがアースアタックを仕掛ける。
ミサイルが命中し、UFOロボットの動きを止めた。
そこへドリルを備えたマグマガンダーがマグマアタックをしかけ、どてっぱらに大穴を開けた。
それでもしぶとく動いているので、仕上げにトリプル合体を敢行した。
ミクロガンダー3のローリングバッククラッシュで、UFOロボットは大破した。

その様子をモニターで見ている者がいた。
悔しがる司令官の前に副官のアクロ星人が膝まづいていた。
副官はアクロサタンのチームなら確実にミクロマンを倒せると進言した。
そしてアクロサタンが1年の間に地球を征服できなければ、
地球はミクロアースと同じ運命になることに決まった。
アクロ星人の司令官は地球に時限爆弾を仕掛け、地球を制服できた時だけ起爆装置をはずすことを命じた。
槍、斧、鞭を扱う3人のアクロサタンチームに、ミクロマンを全滅させる命令が下った。

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〈第6話解説〉

ミステリアスな雰囲気で終わった前回を引き継いだ割には素っ気ないのではないでしょうか。
1952年以来、世界中で目撃されているUFOの正体がアクロ星人の兵器だったのですから、それなりの驚きをもって事態を見つめる必要があると思います。
ジョージ・アダムスキーの証言の一部は真実であることがこれで証明され、その他の科学的な矛盾も嘘と言うより、彼の誤認か宇宙人による操作などと解釈する必要があります。
また、アクロ星人が30年も前から地球を監視していたことは恐るべきことです。

そういえば達也くんはどうしたのでしょう。
UFO目撃の歴史を知る地球人として警告できるはずなのですが。
実は11月号で爆発に巻き込まれてから、3月号で池原版ミクロマンが終了するまでタッチンは一切出てきません。
イリヤの発明のおかげで無事だと思ったのに、これでは死んでしまったのと同じです。
ううぅ…

ガンダーマシンの活躍はかっこよくて、胸のすく思いがします。
ニューミクロマンとしては数少ない搭乗型のメカをスピード感たっぷりに描写しています。
アクロイヤーのUFOロボットが出てきたのも、ミクロガンダー3と闘わせるためだったのだなと納得しました。
ただ、ミクロガンダー3は昭和56年の暮れで店頭からほぼ姿を消しており、商品の宣伝になったとすればニットーのプラモデルに対するものだけでしょう。
12月号の裏表紙にはミクロロボット7とアーマードスーツバルソニックの広告も載っておりましたが、そちらを出すべきだったのではないでしょうか。
7とバルソニックは最後まで漫画に登場することはなく、残念な結果となりました。
ミクロガンダー3の登場は嬉しいですが、かなりタイミングが悪かったと言えます。

アクロサタンのチームなら確実にミクロマンをたおせると言っていますが、アクロサタンは連載開始からずっと出ていましたよね。
ああ、今までのは普通のアクロ星人(アクロイヤー)で、そのミュータント(突然変異体)のことをアクロサタンと言うわけですね。
常にサタンプロテクターのフードを被っていること以外に見た目に違いはないようですから、ややこしいですね。
ということは、商品として売られているサタンレッド、サタンブルー、サタンブラックが今やっと登場したわけです。
悪役不足とはいえ、何というご都合主義でしょうか。


〈アクロ星人とは〉

アクロサタンのフィギュアは、ご存知のようにベンダブルタイプの蓄光緑色ボディで発売されました。
それをモデルにしたキャラクターなら、連載の始まった7月号から出ていました。
しかしアクロサタンという呼び方は12月号まで出てこなくて、ミクロマンの敵は総称として「アクロイヤー」と呼ばれていました。
その中には、アクロブルー、レッド、グリーンとして発売された「狭義のアクロイヤー」と、アクロサタンも含まれます。
アクロ星人という言い方はカタログ中にはありましたが、劇中では12月号まで使われていませんでした。
「まもなくアクロ星人のミュータント アクロサタンのチームが完成されますから」
というのが初めてです。
司令官も副官も今までの敵も、狭義のアクロイヤー以外は皆アクロサタンの姿をしていて、それぞれ装備の違い、耳や顔の長さなどの個性はあるのですが、ほぼ同じです。
自分たちのことは「われわれ」としか言っていません。
そのような状況から私は、ミクロマンの敵を指す最も対象範囲の広い言い方がアクロ星人であると解釈しています。
また、それとほぼ重なるけれど、ミクロマンにとっては敵対意識、アクロ星人にとっては誇りをこめた呼び方がアクロイヤーであり、
初期の星間戦争では狭義のアクロイヤーしか目撃されなかったために、アクロイヤーと言えばアクロレッドなどのロボットか昆虫のようなタイプに限られる場合があるという二重性が生じたと考えています。
私はこれを混同しないために、広義にはアクロ星人と言い、
そこに含まれる存在として仮に狭義のアクロイヤー、アクロサタン、普通のアクロ星人という言い方をしたいと思います。
そして、アクロサタンはほかのアクロ星人と容姿は似ていても、遺伝子操作によって残虐性を高められたものだけをさすと考えなければいけないと思います。
冒険王の漫画について話をする場合、ご面倒でしょうがこの呼び分けに倣っていただけるとありがたいです。

モニター越しに部下の戦いを見ているアクロ星人の司令官は、実際はどこにいるのかよくわかりません。
もしアクアムーンにいるとしたら、それはアクロデビル元帥である可能性があります。
後に鎧やマントを身にまとい、森藤版や古城版で威厳のある姿を見せることになります。
しかしちょっとかけ離れすぎのような気がします。
アクロ星人が全てベンダブル人形の姿というのも不自然です。

今までは池原版に限るという前提でアクロ星人の話をしてきましたが、池原版、古城版、森藤版などの全ての物語がつながっているとしたら、新しい解釈ができます。
もしかしたら池原版に出てきたアクロ星人はまだほんの一部にすぎず、旧アクロイヤー型、アーデン型、ニューアクロイヤー型、アクロサタン型など、実はいっぱいあるのではないでしょうか。

コミックボンボン'83年12月号に載っている、アクロ星人がミクロアースを攻めてきた時の森藤先生のイラストが、アクロ星人の正体についての答です。
そこには初代アクロイヤー、アクロイヤー2、総統、アーデン、アクロレッド、アクロサタン、アクロデビル元帥の姿が見られます。
全てのアクロイヤー的なもの、それがアクロ星人だと言えるでしょう。


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