第2部 第8話 ■TVアニメマガジン1983年11月号■
〈あらすじ〉 インターセプターから降りたタカシたちを異次元発生装置の機銃が攻撃してきた。 と思ったら急に攻撃がやみ、異次元発生装置が作動しはじめた。 装置から出現したアクロイヤーのバトルタンクにねらわれて身動きできなかったが、ポケットにミクロカセットがあることをユカは小声でサラムに告げた。 サラムはミクロチェンジしたコンドルに乗り、タカシとユカを助けるために砲撃をかいくぐってその場を離れた。 サラムはポンコツ置き場を見つけ、スクラップを材料にして新しいメカを作りはじめた。 アクロデビル元帥は大作戦の準備が整ったことから、捕虜に見はりをつけて閉じこめておくことにした。 見はりは右腕に機関銃を備えた重装甲の見たことのないアクロイヤーだった。 部屋のドアを誰かがノックした。 ミクロマンが助けにきたと見てアクロイヤーは機関銃でドアごとハチのすにした。 だが、ドアの向こうにミクロマンの姿はなかった。 見上げると、バイオスーツに乗ったサラムが銃を構えていた。 サラムは重装甲のアクロイヤーを倒し、2人を助け出した。 異次元発生装置にはアクロデビル元帥の号令でバトルタンクの大群が集結していた。 サラムはこの状況を利用して脱出することを思いついた。 |
〈ミクロチェンジ編第8話解説〉
ピンチを次々と切り抜けていくというストーリーです。
今回感心すべきなのは、ユカがポケットに隠し持ったミクロカセットを使うのを思いついたことと、何でも武器にしてしまうサラムのロボット工学の実力ですね。
あとはただの幸運です。
機銃の攻撃がやむのは異次元発生装置が作動したからで、それはバトルタンクがやってくるからでした。
バトルタンクはタカシやユカをすぐに殺せたはずなのに、利用する意図でもあったのか、捕まえるだけでした。
捕まえても何もしないのは大作戦を発動したからですが、ミクロマン1人に逃げられたことは逆に大作戦の開始を一時中止するくらいのことではないでしょうか。
それからバトルタンクはもともと要塞内にたくさんあったのに、先ほど異次元発生装置で呼び寄せる必要はあったのでしょうか。
不合理なこともあるのですが、展開が速くておかしさが目立たないようになっています。
バトルタンクはミクロチェンジのカタログにも出ています。
3つのキャタピラで走り、砲塔を左右に2つ持ち、背部に箱型のミサイルポッドを備えています。
ダグラムなどのリアルロボットアニメに影響を受けたデザインだと思われます。
見はりのアクロイヤーは似ているものが全くない新しいデザインです。
昭和56年に発行されたアニメック19号「メカデザイナー大特集」に載っていた菅原裕介氏によるアクロイヤーの没デザイン5体と雰囲気だけなら似ています。
ゴーグル型の目がついており、額に1本の角があります。
頭部はおそらく銀色ではなく、ボディと同系色です。
右手が寺沢武一のCOBRAのような感じでマシンガンになっています。
背中から胸にかけて動力パイプのようなものがつながっていて、バイオスーツBS−2のバイオトロキャノンにこの辺りを撃たれて破壊されました。
サイボーグなのか、戦闘スーツなのか、正体は何もわかりません。
なお、サラムの見つけたポンコツ置き場には、この見張りの同型と思われるやつの壊れた頭部も捨てられています。
漫画に登場したバイオスーツは、本来地球のミクロマンのものではありません。
宇宙船アースダッシュでミクロアースを脱出し、ハイパージャケットを着たハイパーミクロマンが乗り込む重装甲スーツという設定があります。
強化スーツの最終形態としてガンプラブームの後期にプラモデル仕様で発売されたメカはミクロチェンジシリーズにそぐわず、別に新たな設定が与えられたのです。
そのバイオスーツをサラムが作ったということは!?
回収分のミクロム2000モジュールにミクロアースが健在だった頃のバイオスーツ設計データが入っていたのかもしれません。
だとしたら「もう一つの世界」とこの宇宙とは同じ世界だということになります。
アースダッシュのミクロマンが地球を訪れる日も遠くないかもしれません。
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