左は1976年に発売されたオリジナルのスパイヘリです。当時からとても憧れていた商品です。1999年にはスパイシーヌードルから変形する、ミクロマンマグネパワーズの乗り物として同名の商品が発売されましたが、それとはまったく別のマシーンです。ミクロマンを乗せて本当に空を飛ぶなんて、素敵じゃないですか?
死蔵品だったものを2004年に初めて組み立てたのですが、残念なことに尾部の方向舵が湾曲していました。エイロイヤーの尾びれもこんな風に曲がっている例があるとは言え、メカとしてはかっこいいものではありません。 |
一応イベントなどでペーパークラフトキットとして配布することを視野に入れています。そのためにはお客さんに発射機を提供しなくてはいけません。現在入手可能なおもちゃで、仕組みの似ているものを探したところ、「スペースコプター」というプロペラを飛ばすおもちゃがマルカから発売されていました。ベルトを引っ張ってギヤを回すという仕組みは、スパイヘリと同じです。色も気に入りました。そして、造りが単純で低価格であるという点が何より助かります。元のスパイヘリに直接使うことはできませんが、ペーパークラフトの方はこの発射機に合わせて設計すればいいです。ところが、一時スペースコプターを店頭で全く見かけなくなってしまったことがあります。海外のプロペラ飛ばし玩具の使用も検討しましたが、どうしても満足できませんでした。結局スペースコプターは通販などを利用して安定して購入できることがわかり、ペーパークラフトスパイヘリの動力として採用することに決定しました。 |
2005年8月完成の試作1号。ケント紙製。鉛直シャフトに木材を使用し、発射機との接続部分は箱型に加工してあります。不安定ながら飛行には成功しましたが、着陸の衝撃で着陸脚が曲がったり、飾っているうちにローターが垂れてきたりと、強度が全く足りませんでした。 その後、厚紙で試作2号機を製作しましたが、組立加工がかなり難しいものになってしまい、重量も大幅に増加したためうまく飛びませんでした。 |
行き詰まりを破るためのヒントを得ようと、懐かしのライトプレーンを作って飛ばしてみました。 小さい頃、父親と一緒に作った思い出のあるゴム動力飛行機ですが、今再び作ってみて空気をつかむ力の強さには改めて驚きました。軽くて強靭な材料と、無駄のない構造。竹ひごやバルサ材、ニューム管、紙といった、昔からある素材を適材適所で使っていました。前回は単一の素材に拘りすぎていたような気がします。ギミックを重視する以上、構造に応じて素材は使い分ける必要があったのです。 |
そして11月、強度・飛行性能ともに満足できる機体が完成しました。構造強化のためケント紙以外の素材も使用しています。 ローターや着陸脚の厚みの中には、目立たないように竹ひごを埋め込んであります。ローターを裏から覗くとその一部が見えます。ハンドルや発射機の一部にも竹ひごを使っています。 シャフトはアルミパイプ製です。内径3mmのアルミパイプの中にプラパイプを差し込んで、内径2mmにしています。 背もたれ部分の5mmジョイントには、熱収縮チューブも使っています。 |
発射時に機体を安定させるために、発射台を設けました。緑色の部分に取り付けた竹ひごをシャフト底部の穴に差し込むことで、接続部の構造を簡素化することができました。 ベルトをゆっくりと引っ張って、機体がふわっと浮き上がった瞬間の手応えはたまりません。 |
紙部品の数は34あります。描画ソフトの花子で作りました。41個の部品を厚紙から切り抜かなくてはいけないブルドーザーに比べて、組み立てやすいと思います。 |
プラスチックのスパイヘリと紙のスパイヘリとの比較。奥のSPY-101が29年前のポリプロピレン製スパイヘリです。 ステッカーはオリジナルをコピーして貼ってあるので、どちらも同じです。 旧製品の重量39gに対し、紙製は22gしかありませんから、よく飛びます。 ただし、軸受け部分の摩擦がまだ大きくて、機体が少し回ってしまうのが難点です。シャフトを磨いたりグリスを塗ったりすれば改善できるでしょう。 また、ローターにゼムクリップをつけて慣性モーメントを増やしてやった方が、ローターの回転が持続して飛行時間が延びるという実験結果も出ています。重量に余裕がある分は、ローターの方にかけてもいいかもしれません。 そのほか今後の課題としては、発射台のペーパークラフト化が挙げられます。さらに、背もたれの5mmジョイントを工夫して、発売中のミクロヒューマノイドを乗せられるようにすれば、世界がぐっと広がるでしょう。また、M.I.C.R.風の装飾を施したりしても面白いでしょうが、どなたか得意な人にお任せしたいと思います。 |