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スパイヘリペーパークラフト
★発射機大研究★

 タカラトミーの承認をもらい、ワンダーフェスティバルでの販売に漕ぎつけたスパイヘリペーパークラフトですが、何かが足りないような気がします。組み立てたスパイヘリを飛ばして遊ぶのはとても楽しいのですが、旧製品で遊ぶのとはやはり違います。発射機としてスペースコプターを使いましたが、グリップがかなり小さく、握りづらいのも関係あると思います。
 スペースコプターにはちょっと問題があって、製造中止のため新しく手に入れることができなくなりました。そんなわけでスペースコプターに代わる発射機を探す必要性も出てきました。
 室内で楽しめる安価なラジコンヘリコプターも売られている昨今、この手のおもちゃがうけるはずもなく、ミクロマンファンとしてどんなヘリコプターを提示できるのかを模索しました。

フライングコプターとの出会い
 K-1さんからもらったフライングコプターです。スイッチを入れるとモーターでローターが回り、スイッチを切るとヘリが発射機から切り離されて飛び立つという仕組みです。旧スパイヘリ発射機のグリップと似た形をしています。この発射機でスパイヘリを飛ばしてみればってことですか、K-1さん?

電動発射機への挑戦
 フライングコプターの発射機に合うように、スパイヘリを改造しました。ローター軸の下部に3mmプラパイプを接続し、水平に短い竹ひごを取り付けただけです。これでフライングコプターのローター軸下部と同じになりました。

 電動発射機の上には機体を支えるものがありませんが、とりあえず手で機体を安定させて飛行試験をしたところ、ローターの回転力が全然足らず、飛びませんでした。フライングコプターは付属の小型ヘリを飛ばすだけのパワーしかないんですね。
 単3電池4本6Vを角型9Vアルカリ電池に変えても、中国のモーターを280モーターに変えてもだめでした。これ以上大きなモーターになると回転軸の直径が合わなくなるため、簡単な工作では間に合いません。残念ながら、発射機の電動化は諦めることにしました。

手回しハンドル式発射機の模索

 それではと、ハンドルを手で回し、ギヤを介してローターに動力を伝達する仕組みではどうだろうということで、新発売の「手回し発電・2足歩行メカ」を買ってきました。
 綿菓子製造器を作ったときも、モーターより手回しの方がずっと強力でしたから、このキットを改造して発射機を作ればうまく行くのではないかと思ったのです。歯車の強度が足りるかどうか少し不安ですが。
 あとは130モーターを分解して動力伝達部品を組み込む作業と、歯車を組み替えて適切な回転数と回転の向きを作り出す作業があります。

 タミヤの工作キットの手回し発電機を使ってローターを回転させるために、動力を伝達する部分を作りました。
 要らなくなった130モーターから回転子を取りはずし、自転車のスポークを切って作った回転軸を取り付けてピニオンギヤをはめました。ピニオンの反対側には、FLYING COPTERの発射機から取り外した動力伝達部品を着けました。

 これでローターを回して試験飛行をしましたが、どうもうまく行かないので、ギヤの組み立てを説明書のものとはかなり変更して中央の写真のようにしました。 それでも力を入れてハンドルを回すと、歯車が滑って必要な出力が出ません。ワッシャーを1枚ギヤに挿し込み、クラウンギヤとピニオンの間の遊びをなくしてやることで、事情が改善しました。これでローターを回した所、よく飛びました。やはり電動よりも手回しの方がずっといいみたいです。
 次は本体をつけて飛ばします。

 ハンドル式発射機にアクリル板のカタパルトをつけて、何とか形になりました。少々調整をすると、スパイヘリがきちんと載りました。
 早速飛ばそうとしたところ、自作モーター軸と白い部品との接続が緩んで空回りをするようになりました。
 モーター軸に傷をつけたり瞬間接着剤をつけたりしましたが、緩みは改善せず、浮揚に必要な強い力をかけることはできませんでした。この部品はFLYING COPTERのものですので、代わりはありません。真鍮ピニオンなどを利用して緩まないやつを自作する必要がありそうです。

 翌日、軸穴が緩んでいた接続部品は、案外簡単に作ることができました。外径5mmのプラパイプに、横に2mmの穴を空け、斜めに切り込みを入れてナイフで整形しました。これを内径4mmのビニルホースで真鍮ピニオンと接続し、モーター軸に取り付けました。
 強度は充分です。早速試験飛行。飛びました。
 次はミクロマンを乗せて飛行。力を入れてハンドルを回すと歯車からキキっと音がします。 あまり上がりません。どこが弱いのでしょう。



 モーター改造部品は、真鍮ピニオンを具えたダブルシャフトモーターに変えました。動かすと発電するので、LEDを光らせることもできます。
 異音を発しているギヤは、新品に交換しました。「手回し発電・2足歩行メカ」のギヤボックスは、タミヤ3速クランクギヤーボックスと同じなので、部品を有効に使えるそっちを使いました。
 でも、歯車が異音を立てることは変わりませんでした。結局強い力をかけることができず、スパイヘリはまだうまく飛びません。
 5mmプラパイプ製の動力伝達部品も悲鳴を上げていました。ちゃんと力をかけるなら、ここもアルミで作る必要があります。
 ギヤに摩擦抵抗の少ないポリアセタール樹脂を使用し、高い精度を持ったハイスピードギヤーボックスHEを使えば、強度の問題は解決できるでしょう。しかし、平歯車だけで構成されたギヤーボックスは、ハンドルを水平面で回転させなければならず、動かしにくくなります。
 行きづまってしまいました。さて、どうしましょうか。

  旧スパイヘリの下部

 昔のスパイヘリを見直していて思いました。今はスパイヘリペーパークラフトのシャフトの下に3mmパイプをつなぎ、細い接続部品を使って動力を伝えていますが、昔と同じ太さのシャフトにして、ギヤではなく巻いた紐を引っ張って回転を伝える仕組みにしたらどうでしょう。そのほうがシンプルで、強い力が得られるのではないでしょうか。昔のスパイヘリの発射機と互換性が生まれて、なおいいに違いありません。
 方針を転換しつつ、まだまだスパイヘリペーパークラフトの開発は続きます。

旧スパイヘリとの互換性実現

 スパイヘリペーパークラフトを、旧スパイヘリの発射機から飛ばすことができるようにしました。
 そのために、ローター軸下部に水平に短い竹ひごを取り付け、スカート状の部品を追加しました。
 これで旧製品と殆ど変わらない外観のスパイヘリができあがりました。飛翔性能はプラ製のものを凌ぎ、丈夫さでも劣りません。プラスチックと違って部品の反りがないのも特徴です。これこそ理想のスパイヘリペーパークラフトだと言えるでしょう。
 スペースコプターの利用を諦め、さらにフライングコプターに刺激を受けたからこそ、ここまでたどり着けたのだと思います。


高性能発射機の開発

 そして、スパイヘリのペーパークラフトも旧製品も、両方飛ばせる発射機を自作することに、遂に成功しました。
 グリップの材料として選んだのはゼブラのハイマッキーです。握りやすく、加工しやすく、誰でも簡単に手に入るという点で、これ以上のものはないでしょう。 1976年の発売以来モデルチェンジしていないハイマッキーは、長く安定して入手できる材料の優等生です。
 ベルトを引いてギヤを回す代わりに、シャフトに巻きつけた糸を引いて回転させる仕組みを採用しました。単純ですがパワーは充分で、勢いよく飛んだスパイヘリが天井にバチンとぶつかります。
 引っ張った糸から手を放すと、ゴムの力で自動的に糸が巻き取られる仕組みを備えています。試作品は摩擦が大きいのか、まだうまく巻き取られません。ローターを指でクルクルやって巻かなくてはいけませんが、ゴムがあるおかげでシャフトが適正な位置で抜けないでいます。今は細い輪ゴムを使っているところを強くしたりすればもう少しマシになります。
 コンパクトにまとめてありますが、精密に加工した色んな部品を納めてあります。それだけに、部品同士のすり合わせにはホントに苦労しました。特に紙部品の取り付けが難しかったです。数々の困難を克服して、スパイヘリがブアッと飛んだ時の感触でそれも報われました。

 ゴムで糸を巻き取る仕組みのおもちゃが売られていました。トイザらスで199円。少し改造することでスパイヘリの発射機として使えなくもないのですが、外国製で、どこでも売っているものではなく、いつ店頭から姿を消すかわからない商品です。スペースコプターの時みたいに、突然手に入らなくなっては困ります。安定供給は必要な条件です。糸を巻き取る仕組みだけを参考にさせてもらいました。かなり太い輪ゴムを使っています。フードマンのキットマシーンでタイヤの滑り止めに使われている輪ゴムを交換するために買った輪ゴムが使えそうです。


太細両用油性マーカーで作る発射機

 ゼブラのハイマッキーでスパイヘリ発射機を作る手順を示します。

 まず右の画像のように分解し、インクのしみ込んだ部分を取り除きます。プラスチック部分には次のようにドリルで穴をあけます。
太い側を組み立てしなおし、キャップの横から片側を中心まで1.8mmのドリルで穴をあけ、引っ張る糸が通れるようにします。
太い方のキャップの先に9mmの穴をあけます。
細い方のキャップは1.8mmのドリルを反対側まで貫通させ、輪ゴムを引っ掛けるための竹ひごを通す穴をあけます。
細いキャップの先にドリルで5mmの穴をあけます。

シャフトは、アルミパイプを長さ57mmに切り、図の3箇所を1.8mmのドリルで反対側まで穴をあけたものです。

再び分解したハイマッキーに順に糸を通し、シャフトとしっかり結びます。

8mmプラパイプを長さ10mmに切り、紙を巻いて直径15mmにします。

グリスを塗ってシャフトを太ペンの先端に通し、紙を巻いたプラパイプをセロテープでペンに固定します。

動力伝達部品は、8mmプラパイプを長さ19mmに切ったものです。ドリルとナイフで加工しておきます。

動力伝達部を竹ひごで固定します。

太い輪ゴムを、梱包用針金でシャフトに取り付けます。

本体に輪ゴムを通すために、糸で軽く結んで引っ張ります。

太ペン側を組み立てるときは、糸通し穴がピッタリ重なるようにします。

細い方のキャップに輪ゴムを入れたら、竹ひごを輪ゴムの中に通してから糸をほどきます。はみ出た竹ひごは切り取ります。

キャップを元通り組み立てると、見かけはゼブラハイマッキーそのままですね。竹ひごの切り口を本体の色に塗ればよりそっくりになります。ラベルをはがすかどうかは好みにまかせます。糸の先端をDカンに結び付けたら、細キャップを緩め輪ゴムをねじって糸を巻き取ります。

動力伝達部の様子。

太いキャップにはめる紙部品を両面テープで組み立てます。

なるべくきつくはまるよう、巻いてある紙の長さは実物合わせで調節します。

細い方のキャップにあけた穴は5mmジョイントになっており、色んなミクロマン製品に取り付けられます。復刻版ミクロマン用スタンドに取り付けると、スパイヘリのディスプレイスタンドになります。

旧スパイヘリと新型発射機

 この発射機なら昔のスパイヘリもバッチリ飛ばせます。ヘリの機体だけ持っているという人がいらっしゃいましたら、これを使えばスパイヘリが生き返りますよ。
 糸を引いて発射した後は、太い輪ゴムの力で糸が「ジャッ」と巻き取られるので、間を置かず次々と発射できます。遊んでいてもし壊れたら、どうせ手作りですから直すなりまた作るなりすればいいです。勿論、そう簡単に壊れてたまるものですか。壊れることを気にせずに遊べるので、とても楽しくなりました。
 2つ作れば友だちと発射機を1つずつ持って、キャッチボールのようにスパイヘリをやり取りする遊びもできます。
 昔の発射機と外見は異なりますが、それと同等以上に使いやすい発射機です。発射機の外見までそっくりにするのはちょっと勘弁してください。
 今のところスパイヘリペーパークラフトがほしいという人はいないため、イベントでの再販売は考えていませんが、もし機会があったらこの仕様で配布することになるでしょう。発射機の版権は取る必要がないでしょうから、別売りにします。
 それでは、次の作品にご期待ください。


後日談

平成21年10月5日追加更新

4歳の男の子にスパイヘリペーパークラフトを発射させてやったら、発射機のスチロールパイプ部品が一発で折れました。(泣)しかも、2台あった発射機が2台とも同じスチロールパイプ部品が折れました。

でもこれは男の子が悪いのではありません。おもちゃならばこのくらいのストレスに耐えられるくらいの強度がないといけないのです。
ということで、この部品の材質を変更することにしました。初めは内径6mmの塩ビホースを切って試してみたのですが、グニャグニャして動力をうまく伝えてくれませんでした。
次に内径5mm、外径7mmのアルミパイプを削って作ってみました。さすがに金属は加工しづらかったですが、何とか完成しました。強度も精度もバッチリです。以前から不安だった部分がこれで解消しました。
こうしてスパイヘリペーパークラフトは、見えない部分まで強化を施され、どこへ出されても恥ずかしくない作品となりました。
ミクロマンなど知らない一般の人達が訪れる学校の文化祭にも出品され、異彩を放ちました。
「こんなのよく作ったね」

「飛行実演はしないの?」

「マッキーというのがいい!」


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前回発売形態

研究報告
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